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U‐12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2016

決定力? それとも球際の激しさ? 日本がバルサに追いつけない本当の理由とは

公開:2016年9月13日 更新:2020年3月24日

キーワード:FCバルセロナウォーミングアップサッカーサービスジュニアサッカーワールドチャレンジトレーニング

毎年、FCバルセロナを迎えて行われるU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジでは、この年代でおそらく世界最高峰のレベルにあるバルセロナのサッカーが話題になります。実際にバルセロナのユニフォームに身を包んだ小さな選手たちは、その名に恥じないプレーを見せ、私たちを驚かせてくれます。
 
「やっぱり球際の激しさが違う」「決定力の差だよ」「インテリジェンスがあるよ」「デュエルができないとね」
 
ワールドチャレンジを取材していると、取材者だけでなく観客席からもさまざまな声が聞こえてきます。バルセロナの試合を観戦した人たちが口にする「バルサと日本の子どもたちの違い」。私たちが感じる“バルサとの差”のほとんどは、そのときに「日本のサッカーに足りないもの」として話題になっているキーワードに関わっています。メディアなどでも改善すべきテーマとして繰り返し取り上げられるので仕方ない部分もありますが、こうしたキーワードは一過性の流行のような側面もあって、バルサとの差、世界との差を正確に測るのに適当ではない場合があります。
 
「やっぱりものが違うよ」
 
こうした見方が多いのも事実です。たしかにバルセロナの選手たちは世界的に見ても12歳以下のサッカー選手としては稀な才能の持ち主の集団です。うまいし、速いし、なによりサッカーをよく知っています。しかし、それを才能のせいにしていては、せっかくの世界に挑戦する場、世界レベルの12歳の実力を体感できるワールドチャレンジの経験を活かしきれないことになります。
 
少し前置きが長くなりましたが、バルセロナの選手たちと日本人選手の違い、そしてその違いは何か生まれるのか? について、今大会の取材メモをたよりに考えてみましょう。(取材・文 大塚一樹 写真 八木竜馬)
 
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■一番の違いはトレーニング? 意外と気がつかない当たり前のこと

「FCバルセロナは、ウォーミングアップを1対1ではやりません」
 
今大会、バルセロナの試合の分析をお願いしていた世界的指導者集団、サッカーサービスのアルベルトコーチに「日本のチームとバルセロナの違い」について聞いていたときのことです。試合前のチームが使う練習用のピッチに目をやりながら、こんなことを話してくれました。
 
「一番違うと感じたのは、試合中のことよりも試合前のウォーミングアップの風景です。日本の選手たちは技術は申し分ないし、良い選手がたくさんいます。でも、試合でそれを発揮できる選手が少ない。理由はいくつかありますが、こうしてウォーミングアップを見てみると、ほら、ね?」
 
アルベルトコーチの視線の先には、1対1の対人パスや3対1、4対2の鳥かご(ボール回し)、1列に並んでのシュート練習を繰り返す日本チームの子どもたちの姿がありました。
 
「普段の練習を見ているわけではないので断定してはいけないと思いますが、試合前のウォーミングアップは、もっと実戦的な“サッカーのトレーニング”であるべきだと思います」
 
アルベルトコーチは、数分後に始まるサッカーの試合中に、1対1で向き合いながら、しかもノープレッシャーでパス交換する場面があるのか? 3人の攻撃に1人でディフェンスをするシチュエーションがどれくらいあるのか? と疑問点を挙げていきます。
 
「少なくともゲームの直前に、止まった状態、フリーな状態でのトレーニングをしても、試合にいい影響はないと思います」
 
ウォーミングアップは、読んで字のごとく、試合中のパフォーマンスアップのために筋肉の温度を上げる役割があります。しかし、身体が温まれば中身はどうでも良いかと言えばそんなことはないはずです。アルベルトコーチは、ウォーミングアップを「試合前の最後のトレーニング」ととらえれば、それより大きな役割があるはずだと指摘しているのです。
 
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■少なくとも試合前に1対1のトレーニングは必要ない

言われてみればと思い返すと、前日に見たバルセロナのウォーミングアップは1対1で行う動きはなく、常に連動性や攻める方向、アイディアが出やすいように工夫され、アップを見ているだけでもそこに“バルサらしさ”が感じられました。
 
一例ですが、ある日のバルセロナのウォーミングアップはこんなトレーニングで締めくくられました。
 
攻撃側の3人と守備側の2人にGKが加わる3対2。守備側が攻撃側の一人にボールを渡したのをきっかけに、攻撃が始まります。
 
トレーニングメニューとしてはごくオーソドックスなものかもしれません。アルベルトコーチの指摘と重なったのは、そこで繰り広げられていたのが、まさに試合中に起こる可能性が高い、ペナルティエリアの攻防だったことです。
 
最初にパスを受けた選手がゴールに向かってボールを持ち出すと、左右の少し離れた位置からスタートした2人は、ダッシュしたり急ストップしたり、ときにはクロスしたりしてパスを要求します。守備側の2人は数的不利ですが、相手の動きをよく観察して、シュートコースとパスコースを切りながらボールを持っている選手に迫るのです。
 
「サッカーにおいて、1対1は重要なことですが、仲間もいない、相手もいない、ゴールもない状況での1対1はサッカーの1対1とは言えません。たとえウォーミングアップでも、いや、試合前に行うアップだからこそですね。試合と関連づけられたトレーニングを行う必要があるのです」
 
「そんなこと言われるまでもない」「うちもそれを意識してやっています」というコーチの声もあるでしょう。たしかに、日本でも試合に関連づけられたトレーニングが重要という認識は広がっています。それでも日本のトップ選手たちを指導するチームの練習を見たアルベルトコーチが「バルセロナと比べたときに目に付く、他のことよりも大きな差」としてこのことを挙げた事実は見逃せません。
 
「練習を教えるのはコーチの仕事」「ボールをようやくまともに扱えるようになったばかりのうちのチームには無関係」「お父さんコーチなのでそこまでは」という親御さんからの声も聞こえてきそうです。しかし、トレーニングをなんのためにするのか、どういう意識で取り組んだら良いかを親がわかっていれば、子どもたちへの声がけやトレ-ニングに送る視線も変わってくると思います。
 
次ページ:試合で起こり得る可能性が高いトレーニングを
 

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取材・文 大塚一樹 写真 八木竜馬

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