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考える力

相手は"敵"ではなく審判は"あら探しをする対象"ではない

2014年11月12日

キーワード:スポーツマンシップ

今回はキャプテンシーについて考えてみましょう。
 
ザック・ジャパンのキャプテンは長谷部誠選手でした。ザッケローニは長谷部選手がケガをしても、「キャプテンは彼以外に考えられない」と言いました。それを聞いた筆者は、藤枝東高校の先輩としてちょっと誇らしかったです。もっとも長谷部選手自身、ブラジルW杯の本番に間に合うようにギリギリのスケジュールでリハビリしていたため、チーム全体に気配りする余裕があまり感じられませんでした。そのような状態でキャプテンを務めることは、不本意だったかもしれません。それでもキャプテンを務める人材で彼以上の適任者はいなかったのでしょう。(文・広瀬一郎)
 
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■ドイツ・ブラジルW杯で日本代表が惨敗した理由は『リスペクト』にある

時は遡り8年前。ドイツW杯で惨敗したジーコ・ジャパンのキャプテンは宮本恒靖選手でした。彼もミスター・キャプテンと言ってもいい人材でした。キャプテンに良い人材を得たにも関わらず、チームが機能しなかったという点は、ジーコ・ジャパンとザック・ジャパンの共通点でしたね。
 
では、立派なキャプテンがいたにも関わらず、チームがチームとして機能しなかったのは何故でしょうか?
 
質問を変えましょう。優勝したドイツ代表のキャプテン、ラームと長谷部選手を比べると、キャプテンとしての能力の差がどれだけあったのでしょうか? 恐らく、ザック・ジャパンのキャプテンがラームであってもパフォーマンスはあまり変らなかったと思います。なぜでしょうか?
 
問題は、チームが『リーダーシップ』をしっかりと理解しているかどうか、にあります。
 
経営学では、いまや「リーダーシップはフォロワーシップで決まる」が常識になっています。リーダーがどんなに能力が高かろうと、他のメンバー、つまりフォロワーが「リーダーシップ」を理解していないと、リーダーシップは発揮されず、機能しないのです。組織の中で足の引っ張り合いなどしているようでは、組織は十分に機能しないことは、だれもがご存知なはず。
これは会社であろうが、ママさんバレーであろうが、学校のクラス活動でも、組織に共通することです。(組織とは“共通の目的をもった人間関係”ですから、会社であるかどうか、法的に登記されているかどうかは関係がありません。)リーダーにはリーダーの立場があり、フォロワーにはフォロワーの役割があるのです。
 
 

■「プレイして楽しむ」という原則があることを理解しよう

立場が違う人のことを理解することを『尊重』と言います。英語で言えば『リスペクト(Respect)』です。
 
スポーツマンシップの中核にあるのが、この『リスペクト』です。スポーツを通じてリスペクトを学び、身につけることができます。自分と立場が違う相手や審判がいないと、スポーツは成立しません。相手は“敵”ではなく、審判はあら探しをする対象ではありません。両者は自分がゲームを楽しむために、必要不可欠で大事な存在です。立場が違う人たちの間に『リスペクト』が成立するのは、「プレイして楽しむ」という共通の目的があるからです。この原則を理解することが、スポーツの基本です。
 
原則はルールには書かれていません。たとえば、「勝つために努力せよ」とは書かれていません。しかし、これがないとゲームを楽しめないのです。相手が真剣にプレイしてくれないと、自分が楽しめません。同様に、審判がしっかりと機能しないと、プレーヤーは楽しめません。審判は、ゲームを楽しむために必要不可欠な存在です。しかし、これらはルールには書かれていません。書かれていないにも関わらず、守らなければいけないのは、ゲーム自体が成立する前提条件、『原則』だからです。ルール自体が機能するためにも、「なぜ、ルールが必要なのか?」を理解することが必要です。
 
答えは、「ゲームを楽しむため」です。『原則』はルールより上位の概念であることが分かるでしょう。これらの「原則」を理解すると、審判に文句を言ったり、相手を口汚く罵ったり、審判の目を盗んでずるいことをすることが、スポーツにとってはいかに無意味なことか分かるはずです。(ビジネスで「契約」が成立し機能するためには、「契約とは守るもの」という前提、つまり『原則』が双方に理解されている必要があります。同様に、『市場』が機能するためには、その参加者が「市場のルールを守ってフェアに競う」という『原則』を理解している必要があります)。

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文・広瀬一郎

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