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引いた相手を崩せないのはなぜ?『遊びごころ』と『自立』の価値

公開:2014年10月 1日

キーワード:U-16アジア吉武監督日本代表自立

前回配信した記事『U-16日本代表監督が強調する『自立』の本当の意味とは』で説いた自立した選手の重要性は、技術面にも大きく波及する。近年のジュニア、ジュニアユース世代は個の技術の向上にフォーカスが当てられており、年々選手たちは確実にうまくなっている。しかし、それと反比例するように、自立や自己判断の質は落ちている。一見、スムーズにパスがつながっているサッカーが、判断の質も高いように見えるが、じつは相手が見えていないケースも多い。実際にAFCU-16選手権でも、ビハインドの状況でパススピードが上がらなかったり、消極的なパスが目立るシーンは多く見られた。さらに今大会の兆候として、すべての対戦相手が、日本のポゼッションサッカーに対して、徹底したブロックディフェンスを敷き、日本にあえてパスを回させてミスを待ちカウンターを狙っていた。

 
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取材・文・写真 安藤隆人
 
<<U-16日本代表監督が強調する『自立』の本当の意味とは
 

■日本に失われつつある『遊びごころ』

香港、中国、オーストラリア、韓国の4チームと戦い、すべての試合で日本がボールポゼッションで圧倒するも、内実はポゼッション“させられている”ことが多かった。そして、香港(2-0)、中国(3-0)には勝利できたが、オーストラリア(2-4)、韓国(0-2)には敗北。オーストラリアと韓国には前線に高い能力を持った選手がおり、カウンターの精度が高かったことが負けた要因。それを差し引けば、この4チームは日本に対してほぼ同じ戦い方をしてきた。
 
結局、ポゼッション“させられる”時間が長くなり、そこで生じたミスをしたたかに突かれた。このミスを突かせないように戦うには、やはり試合を読む眼や、ピンチやチャンスを逃さない眼を持たないといけない。
 
「いまの子どもたちは、正直、遊びがないと思います。サッカーをやらされている感覚があると思う。サッカーは遊びです。むかしは、近所の広場や学校のグラウンドにみんなで集まって、木や自転車をゴールに見立てたりして、みんなで楽しくアイディア豊かに自分たちでルールを作って、そのルールの中で良い汗をかきながら、プレーを工夫していました。でも、いまはそういう遊びがなくなってきている。結局、誰かに決められたルールがあらかじめあって、それになんとなく従っていることが多すぎる気がします」(吉武監督)。
 
遊びの中で創意工夫をしながら、イマジネーションを膨らませてプレーする。この『遊び心』が、いつしかこうしなければいけない、こうやらないといけないという『義務』に変わってしまっている。戦術論が発達し、海外サッカーやJリーグなど、子どもたちにいろいろな情報が入ってくる中で『サッカーはこうあるべき』ということを育成年代から決めてしまう傾向がある。
 
もともと技術というのは、生かさなければ意味がない。技術を生かすということは、止めて蹴る精度を高めるための地道な基礎練習を繰り返すこと。戦術の理解力はもちろん必要だが、それを応用する力がなければ『宝の持ち腐れ』で終わる。応用力こそ豊富なイマジネーションや状況や流れを読む目、直感的な本能を必要とする。そういうものを指導で引き出すのは、なかなか難しい。ジュニア、ジュニアユース年代でそういうものを身につけることができなかった選手が、高校やJユース、そして今回のU-16日本代表のように、明確な指針や戦術を持つ集団に入った時に、そこで独創性やイマジネーションを発揮することは非常に難しい。
 
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