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身体のプロに訊く「体幹トレーニングって本当にいいの? 」

公開:2014年7月10日

キーワード:運動

 

■体幹を鍛えるときは、同時に柔軟性を保つこと

繰り返しますが、体幹トレーニングを否定しているわけではありません。また、実際に身体を見たわけではないので、「香川選手の柔軟性が無くなったのは体幹トレーニングのせいだ」と断定することはできません。ただ、実際に香川選手が上半身の強化を行なって体幹が太くなった時期と、腰の柔軟性が失われていった時期は重なっているように思います。
 
「体幹トレーニングを導入する際は、同時に柔軟性を保つことを十分に心がけてほしい。そうしないと腰が固まり、身体全体が連動できなくなってしまうことが十分に考えられる」ということはどうしてもお伝えしたいのです。「体幹トレーニング=プロ選手がやっている、取り入れよう」ではなく、どういう目的でこのトレーニングを取り入れるか、目的意識を強く持ってほしいのです。
 
「強い体幹を手に入れたい」と考えるのは、どのような目的からでしょうか? サッカーは体幹の強さを競い合うスポーツではありませんよね。香川選手のように攻撃の選手ならば、得点する、アシストをする、相手陣内に切り込んでいく、そういうプレーするうえでの具体的な目的があるはずです。
 
しかし、見たところサッカーにおいて体幹トレーニングは、なぜか「ボディコンタクトの強さを手に入れる」が主な理由として取り入れられているように思います(ちなみに「バランスを良くする」は専門的に見て間違っています。また、「ドローイン」というお腹をへこませる手法も感心しません。これらについては説明が長くなりますので割愛します)。
 
確かに、ガチっと身体を固めて相手にぶち当たれば、少々の当たりには耐えられるでしょう。しかし強い身体というのはそれだけではなく、相手の当たりをいなしながら、時には当たられながらも力を逃がすしなやかさが必要です。そして、そういうしなやかさを持つには腰や背骨の柔軟性が不可欠です。以前の記事でブラジルのネイマール選手について説明しましたが、しなやかさを持つのがトップレベルの選手です。ガチっと固めてしまうと、うまく相手の力を逃せなくなり、より強い力でぶつかられたときはふっ飛ばされるしかなくなります。
 
最近の体幹トレーニングは、体幹という部分にしか焦点を当てていないように思います。そうではなく足先だったり手先だったり、すべての関節とどういう風に連動させていくかという視点が必要です。選手の全体を見た上で、必要だと判断した時に初めて取り入れるという手順を踏むべきでしょう。体幹を鍛えていてもケガが多い選手というのは、ひょっとするとそういう視点が欠けているのかもしれません。
 
 
Oriental Physio Academy(オリエンタル・フィジオ・アカデミー)
2014年1月1日設立の理学療法士集団。“理学療法と東洋医学の融合”を掲げ、治療の可能性を追求するセラピストに対し様々な提案を行う。トリガーポイント療法、筋肉や筋膜の連鎖、東洋医学で使われる経路や経穴の知識、東洋医学の五行論を用いた筋膜やトリガーポイントの連鎖に関する知識、武術を応用したスポーツ動作など、提供する知識の幅は多岐にわたる。
 
2014年7月より、一般向けにコンテンツ提供を開始。膨大な臨床経験と知識を活かした身体への深い洞察を元に、スポーツ選手の動作解析、ダイエット、肩こり、腰痛、痛み・しびれ、便秘、骨盤エクササイズなど様々な情報発信をしていく予定。
 
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文/Oriental Physio Academy 写真:田川秀之

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