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考える力

選手と指導者、選手同士で会話を重ねながら、子どもの個性を育むレオーネ山口

2012年9月12日

キーワード:コミュニケーションコーチングトレーニング

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“個性を育む”という課題に指導者・選手一体になって取り組むレオーネ山口。前回は代表の住田優さんに個性を伸ばす指導方針についてお話をお聞きしましたが、今回は実践編。取材の際に行っていたメニューを元にレオーネ山口の練習方法を紹介します。
 
レオーネの練習は1回1時間半。ゲーム形式のメニューが中心です。練習を行うグラウンドの広さはサッカーのフルサイズのピッチ1面半ほどで、小学生から中学生までが一斉に使用するため、使える広さは限られています。その中で、個性を育む練習方法とはどういったものなのでしょうか?取材時に行っていた、4対3の練習を元にレオーネ流のトレーニング方法を紹介していきます。
 
<<前回(レオーネ山口代表・住田優さんインタビュー)の記事を読む
 
 

■プレーの待ち時間、空き時間を有効活用していく

練習の初めに住田さんは選手を使って、手本を見せます。「単にやってみろ、考えてみろでは選手たちは何も出来ません。トレーニングの際は最初にこうやったら相手の裏を取れるよね?という風にプレーを実際に見せて例題の答えを出してあげることが大事です」(住田さん)。ただし、状況は毎回変わりますし、対峙するDFも同じ見本を見ているため、例題と同じプレーをやっているだけではうまくいきません。そこで、住田さんはこう声をかけます。「プレーの選択肢というのは常に3つ以上ある。相手の思いつかないプレーを考えてみよう。皆をびっくりさせてみよう」。狭い練習エリアなので、相手DFの寄せも速く考える時間は長くありません。プレーの前に考えることで、選択肢を増やし、判断力の速さを高めることに繋がっていきます。
 
また、“考える”を徹底すると、他の選手のプレーを注意深く見て“次はどういうプレーをしよう?”と考えるようになり、無駄な待ち時間が無くなるという効果もあります。「おもしろいもので、うまい選手はこちらが示した例題のプレーは絶対にしないんです。常に違ったプレーをしてくる。それが成功にしても、しなくてもいいんです。そのプレーを考えついたこと、チャレンジしたことを誉めてあげることが大事」と住田さんは話します。
 
選手の個性を育むのと同様、各カテゴリーのコーチの個性も大事にするため、同じ練習ではありませんが、隣で練習を行うジュニアも取り組みは一緒です。自らの順番が来るまでの間に選手同士が「今度はこういうプレーをしてみよう」と話し合いを行うのが印象的でした。チームのコンセプトとして掲げる“相手の嫌がるプレー、誰も思いつかないプレー”はこうした日々の繰り返しから育まれていきます。
 
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■選手同士、選手とコーチ。会話を重ねることが個性への一歩。

何度も何度もチャレンジしながら、良いプレーが出来た際にはコーチと選手が一緒になって誉めることで、選手たちは手応えを掴んでいきます。中には、選手たちが良いと思ってもコーチとしてはどうかな?と思うようなプレーもあります。その際は、また練習の空き時間を使い、選手とコーチが話をします。「今のプレーはなんで良いと思ったの?俺には思いつくプレーだったよ」。住田さんのそんな言葉に対し、選手もしっかり自分の意見を伝え、時には反論することもあります。これも前回紹介した「見ているところでも見ていない所で自分の本音をさらけ出せる人間であれ」というレオーネの考えの下、育まれた個性の一つです。時にぶつかりながらも、選手たちの考えを理解し、個性を把握することが、指導の中でも生きてきます。
 
レオーネの練習にはもう一点、ポイントがあります。入部セレクションを行っていないため、実力差が大きく、練習でも「うまく行く選手、うまく行かない選手の差がある状態」(住田さん)です。コーチがつきっきりで指導することは出来ないため、課題を埋めるためには選手自身が鍵となります。練習の合間に手が空いた出来る選手が、出来ない選手に教え、一緒になって考えることで、実力の差が埋まっていくのと同時に考えが整理され、次のプレーに繋がっていきます。最初は住田さんがうまい選手に「教えてあげて」と声をかけていましたが、今では自然に選手たちがこういったことが出来るようになっていったそうです。
 
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少人数でのゲーム方式を終えると、次は8対8のゲーム方式へと移ります。実際の試合に近い形の中で、少人数でのゲームで試したことを再確認していきます。5分、10分の短い時間で選手を入れ替えていきますが、ここでも先ほどと同じく、どうしても手が空く選手が出てきます。ゲームに参加できない選手はただ見るだけ、もしくは休憩時間にあててしまいがちですが、「こういう空いた時間が差に出てくる」と住田さんは話します。
 
レオーネではゲームに参加できない選手たちはグラウドの隅を使い、別の練習に取り組みます。メニューはパスやフィジカル、走りなど様々。住田さんから何か指示を与えることはありません。選手たち自身が自らの課題を考え、克服するための練習や話し合いを行っています。-自ら考え行動に移す- 簡単に思えて、難しい作業ですが、選手たちはジュニア年代からこの作業を行っているため、「あまり介入しないでもそれぞれが実行してくれる」(住田さん)状態になるのです。
 
レオーネの練習には難しいことはありません。指導者の心がけ、工夫一つで選手の意識付けが変わるという簡単なものです。今後の指導の参考にしてみてはいかがでしょうか?
 
<<前回(レオーネ山口代表・住田優さんインタビュー)の記事を読む
 
 
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住田優
1978年3月20日生まれ 岡山県出身
高校卒業後、社会人経験を経て、24歳で新潟県のサッカー専門学校JAPANサッカーカレッジに入学。卒業後在学中、新潟のクラブでコーチとして実績を積み、卒業後2005年からレオーネ山口で指導にあたる。2008年にチームがNPO法人へと以降してからは理事長としても活動を行う。日本サッカー協会公認C級コーチ、JFAスポーツマネージャー(GRADE3)
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取材・文・写真/森田 将義

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