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考える力

ドリブル?パス?プレースピードを向上させる「ボールを受ける前後の動き」

2012年6月11日

キーワード:指導者練習メニュー育成

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創部から初年度の2005年に高校選手権大阪予選でベスト16入り。3年目にはプリンスリーグ、インターハイ、高円宮杯に初出場も果たすなど順調に成績を残し続ける新進気悦の大阪桐蔭高校。成績だけでなく、1期生のMF阿部浩之を始め、8年間で5人ものプロ選手を輩出しています。躍進の秘訣ともいえるのがINF(フランス国立サッカーアカデミー※)で培った“加速するサッカー”。大阪桐蔭流の“加速するサッカー”について永野悦次郎監督に解説していただきました。
 
 

■周りと差がつくパス前後の四つの動き

大阪桐蔭では創部以来、毎年、海外遠征を行い、INFのサッカーを肌で感じ、世界で戦う上で必要な技術を学んでいます。その中で、気付いた世界との違いは“流れの中でプレーできるかどうか”。永野監督は「現地の選手との違いは“止める・蹴る”の部分。ヨーロッパの指導者から、技術的な部分に関しては日本人の方が器用でうまいけど、動きの中でそれが出来ないと指摘されました」と話します。指摘通り遠征初年度はボールを受けても、次のプレーが遅いため、体格差で上回る相手に当たり負けしてばかり。その中で、動きの中での素早いプレーに必要な要素に気付いたと永野監督は話します。それは『ボールを受ける前後の動き』。ボールを受ける前後の意識付けをしっかり行うことで、プレースピードが上がり、海外にも負けないサッカーが展開できるようになりました。受ける前に必要な動きとは何なのか?ポイントは以下の4つです。
 
1.相手から距離をとる
余裕を持ってプレーをするためにもボールを受ける前に相手から離れるためにスペースへと動きます。気をつけなければならないのは距離感。ボールの出し手から離れすぎていてはインターセプトされる恐れがありますし、近すぎては混戦となり余裕が生まれません。瞬時に適切な距離をとらなければなりません。
 
2.次の選択肢を持つ
ボールが来てからどういうプレーをするか考えていると動きが遅れ、相手に寄せられてしまって、ボール失ってしまいます。パスを受ける前にしっかり状況を判断し、パスやドリブル、ロングキックなど次のプレーを考えておく必要があります。また、選択したプレーへと移るためにも来たボールを柔らかく吸収するトラップも大事です。
 
3.どんなボールが欲しいかはっきり要求する
次のプレーを準備していても、思った所にボールが来ないと意味がありません。そのためにも、自分がどんなボールが欲しいのかを味方に対してしっかりと伝えることが重要です。簡単に思えても、これが出来る選手は意外といません。一番多いのは手で欲しい場所を示す選手。これをしてしまうと、相手に欲しい場所がバレてしまってボールを獲られてしまいます。獲られないためにもアイコンタクトなどで欲しい場所を示すなど動きでの要求が必要です。
 
4.次の準備をするために素早く動く
自分のプレーをしたら終わりで足を止めるのではなく、次のプレーに移るために2、3mトップスピードで移動します。ただ闇雲に走るのではなく、もう一度ボールを受けるためなのか、相手のおとりとなるプレーなのか、またはカウンターに備えるためなのか、“なぜ動くのか?”を考えなければなりません。
 
チーム全体でこれら四つのポイントに気をつけ、個々のプレーを繋げることでチームにスピードが出てゴールに向けて“加速”していきます。この四つのポイントは、永野監督は「高校年代に入ってから意識付けるのは時間がかかります」と話すようにジュニア年代で意識することが大事です。
 
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■洞察力は組織を考えることで育まれる

四つのポイントを身につけるために必要な要素として、何をすべきかを考え続けるために必要な洞察力が挙げられます。洞察力について、永野監督は「サッカーは11対11のスポーツなので組織でプレーすることが大事です。周囲を思う気持ちが芽生えるといろいろな見えないものまで見えてきて、味方が何を思っているのか、相手がどのようにしてボールを奪おうとしているのかが分かるなどサッカーに繋がっていく」と選手たちに「人を思うこと」の重要性を教えています。
 
サッカーには持ち込んだり、仕掛けたりドリブルが必要な場面もあります。スペースを得てゴールへ近づけるのであればパスも必要です。常に複数の選択肢があり、その中から最適なものを判断すべき状況があります。自分がどういうプレーをするとチームのためになるのか?を考えられるようになることが素早いプレーに繋がっていきます。
 
 

■繰り返すことの重要性

“考えて動き続ける”ことは簡単なことではありません。大阪桐蔭ではほぼ毎日、40分以上かけてボール回しの練習を行い “止める・蹴る”を身につけています。大切なのは“ボールを止めない”こと。足裏でのボールコントロールはプレーの速度が落ちるので禁止。繰り返し行うことで動きながらボールを受ける意識を植え付けます。紹介するのは入り口の部分となる5人1組または6人1組でのメニューです。
 
①グリッド内で自由にパス交換
単にボールを回すだけでなく、相手選手がいることを想定し2秒以内にパスを出すように指導します。2秒以内でパスを出すためにはボールをどう止めて、どこに置くかが重要となります。
 
②グリッド内で条件をつけてパス交換
上記のプレーが出来るようになると、更に条件を足していきます。
・3回コントロールしてパス
・4回コントロールしてパス
 
③3回コントロールしてからパスを行う場合
来たボールをコントロール→DFをかわす動き→次の相手にパス。
 
④4回コントロールしてからパスを行う場合
来たボールをコントロール→DFをかわす動き→切り替えしてもう一度かわす動き→次の相手にパス。
 
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これらは具体例です。こうすれば良いと教えるのではなく、常にスペースを探しつつ、“止める・蹴る”の繰り返しの中で選手が“こうすればうまく行く”と状況に応じた判断を学ぶことが、試合の中でも役立っていきます。また、実際の試合と同じく、チームにも練習場の広さ、人数、様々な状況があります。この練習メニューをそのまま行うのではなく、これらのメニューをヒントにして、“うちのチームなら、これだけの人数がいて、これだけのスペースしかないからこうしよう。こうすればテクニックも身につく”と自分たちなりのメニューを考案するなど指導者にも柔軟な発想が求められると思います。
 
 

※INF(フランス国立サッカーアカデミー)とは//
フランスの国立サッカー学院。優秀な若手をスカウトし、費用をすべて持ったかたちで、敷地内の寮に寄宿させ学業とサッカー両方の面倒をみる。ティエリー・アンリ、ニコラ・アネルカなどが卒業生として有名。JFAアカデミー福島のモデルともなっている。

 
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永野悦次郎//
1967年12月20日 現役時代は北陽高校、大阪産業大学を経て、兵庫県の社会人チーム「明倫クラブ」でプレー。国体選抜に選ばれた経歴も持つ。引退後の1996年秋から大阪産業大学附属高校でコーチ、監督を務め、2004年からは系列の大阪桐蔭に赴任し、サッカー部監督として創部に携わる。以降は2008年に高校選手権大会初出場を果たしてからは、激戦区、大阪を勝ち抜き総体、高円宮杯とコンスタントに全国大会に出場するなど、高い注目を集めている。
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【永野さんのインタビュー記事】
選手の頭から柔軟性を奪う!? サッカー用語が生む弊害とは
 
1
取材・文・写真/森田将義

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