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テクニック

骨盤をリセットするだけで、ボールコントロールは上手くなる

2014年7月 1日

キーワード:ワールドカップ

熱戦が繰り広げられるブラジルワールドカップ。前回、ドイツ代表のミュラーの事例を挙げながら「ハードなプレッシングを繰り返しても、疲れない方法があった!」を紹介したフットボールスタイリストの鬼木祐輔さんに、気になるプレーを再びピックアップしてもらいました。
 
今回のテーマは「骨盤(全身)をリセットする」ことによって生まれたゴールです。
 
鬼木さんは「骨盤(全身)をリセットする」意味をこう説明します。
 
「少しお尻をあげて、背筋はシュッと伸ばすように立つと、お腹の下辺りにある重心が高く保たれて、両脚が地面に居着かずに、すばやくスムーズに動けるような状態になるのです」
 
では、2つの事例を紹介しましょう。

 
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骨盤リセットからスーパーゴールを決めたハメス・ロドリゲス(取材・文/杜乃伍真 写真提供:Getty Image)
 
 

■日本を沈めたマルティネスの骨盤リセット

まずピックアップしたのは、グループリーグの日本対コロンビア。同点のまま迎えた後半10分、日本中が悲鳴に包まれたコロンビアのゴールシーンです。
 
日本のゴール前中央へ侵入したハメス・ロドリゲスがシュートを打てないと判断するや左方向へショートパス。そのパスを少し後ろに下がりながら受けようとしたのが、コロンビアのフォワード、ジャクソン・マルティネスです。鬼木さんが指摘するのはこのシュートまでの一連の流れでした。
 
「もちろん、この動作をマルティネスが意識しているのか、それとも無意識でしているのかはわかりませんが」
 
そう前置きした上で鬼木さんはこう続けます。
 
「マルティネスは後ろに下がりながらボールを受けるときに、背筋をシュッと伸ばすようにしてお尻を浮かす、つまり、お腹の下辺りにある重心を上げるような動作を入れているんです。この動作を入れることによって骨盤がリセットされます」
 
骨盤をリセットしないまま(重心を上げないまま)ボールコントロールをしようとすると、骨盤に両脚の根元が埋まったままの状態なので、ボールに対して両脚が壁のような状態のままぶつかり、ボールの勢いを吸収しづらくなってしまうのだと鬼木さんは指摘します。
 
「しかし、この場面でマルティネスは骨盤をリセットしているので、本来骨盤に埋まっている両脚がフリーの状態になり、つまり、両脚が地面に居着いていない状態になるので、ボールの勢いがほどよく吸収されて、コントロールがしやすくなるのです」
 
そして、マルティネスは自分がコントロールしたい方向へとお腹の下の辺り=重心を向けると、流れるような動作からシュートモーションに入ります。
 
「ここで重要なのはマルティネスが足先でボールをコントロールしていないことです。重要なのは、足元ではなくあくまでも重心。マルティネスはお腹の方向をボールをコントロールしたい方向へ向けているので、自然とボールもその方向へと転がるように仕向けられているのです。このときマルティネスの両脚は、骨盤をリセットしているのでフリーの状態です。重心を前ヘ前へと先行するように運動ができているので、フリーになっている両脚はその後追いをするだけ。だから、両脚をスムーズに動かすことができ、すばやくシュートを打つことができたのです」
 
日本のディフェンス陣はゴール前に人数をかけてスペースを埋めようとしていましたが、マルティネスはそのわずかなスペースと時間でも、骨盤をリセットすることでゴールを陥れることができるのです。
 
 

■骨盤リセットから生まれたハメス・ロドリゲスの芸術弾

2つ目に紹介するのもコロンビアの選手。日本を混乱に陥れたエース、ハメス・ロドリゲスです。ピックアップするのは決勝トーナメント一回戦の対ウルグアイ戦で生まれたスーパーゴールです。
 
前半28分、相手のゴール前でロドリゲスの頭上をボールが行き来する間、彼は幾度となくポジションチェンジの微調整を繰り返しながら、同時に、本人に意識があるかどうかは別として、骨盤をリセットするアクションを何度も入れていました。
 
「映像をたどると、ロドリゲスはボールが前後に行き来している間にポジションチェンジをしながら、ボールを受けられる体勢づくりを何度もやり直しているんです。よくみると少しだけジャンプをして身体を浮かすようなアクションを入れているようにも見えます。その度に背筋がシュッと伸びて、お腹の下辺り=重心が少し斜め前になるような感じで、お尻が少しだけ上がった状態になる。だから、両脚がフリーになって、いつボールが来てもすばやく動き出せる状態をキープできているんです」
 
そうして後方から浮き球のボールを胸で受けたときの姿勢は、背筋がシュッと伸びたまま。重心が高く保たれているので両脚はフリーのままでスムーズに動き、後方から身体を180度回転させるほどのボレーを振り抜いて、見事なまでのシュートをゴール右隅に流し込みました。
 
このようなプレーを真似しようとするときに注意しなければいけないのは「ボールを見つめ過ぎないこと」と鬼木さん。
 
「どんなボールにも対応しようとしてボールだけに集中して見過ぎてしまうと、身体が力んでしまい、気づいたときにはお尻が落ちた状態(重心が落ちた状態)になってしまいます。そうすると両脚の根元が骨盤に埋まってしまうので、両脚が地面に居着いてしまい、次の瞬間にスムーズにアクションを起こせなくなってしまいます」
 
ポイントは、ボールが来る! と感じた瞬間に、少しだけつま先立ちになって、お尻をちょっとだけ浮かし、背筋をシュッと伸ばしながら、ボールを身体の中心(=重心)で受けられるようなイメージをもって準備することです。
 
世界の一流選手たちは、その意識の有無にかかわらず、このような「骨盤(全身)をリセットする」アクションを入れることで、ゴールの確率を高めているのです。
 
 
鬼木祐輔
サッカーがうまくなるために「身体を上手に動かす」という観点からサッカーを捉え、その方法を一緒に考えいていきます。しなやかで、シュッとしていて、立ち姿が美しく。 頑張らない、息まない、力まない。サッカー選手をスタイリングして行きます。現在は幼稚園児から高校生までのスクールやチームでサポートを行っております。また、ケガをしないための身体作りやケガから競技復帰までのお手伝い。自分で自分の身体の状態を知るためのお手伝いもしています。ケガでお悩みの方もご相談ください。
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取材・文/杜乃伍真 写真提供:Getty Image

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