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テクニック

乾貴士のドリブルの原点はココにある! セゾンFCの哲学とは?

2013年7月23日

キーワード:ドリブル

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状況を一気に変えることができ、サッカーの花形プレーであるドリブル。メッシやクリスティアーノ・ロナウドのようなドリブラーに憧れ、練習に取り組む選手も多いのではないでしょうか?
 
今回はドリブルが上手くなりたいというお子さんのために、日本代表の乾貴士選手(フランクフルト)や楠神順平選手(C大阪)を排出した、滋賀県のセゾンFCの代表でコーチの土川晶夫さんにお話を伺いました。個性派テクニシャンを多く排出する街クラブの雄・セゾンFCのドリブルについての考えやコツとはいったい、どういったものでしょうか?
 
 

■ドリブルは武器のひとつ

ドリブルに拘りを持ったチームとイメージする人も多いセゾンFC。実際に練習でもドリブルを主としたメニューが多く行われており、土川さんは「ドリブルがしたいという選手が多いので、ドリブルを伸ばそうとうちに来てくれているのかなと思います」としつつも、「ドリブルを主体にやっているわけではありません」と否定します。
 
「あくまでサッカーはパスゲーム。パスを生かすためのドリブルを選手にはやってもらっています。ドリブルして、自分のコートから相手コートの端まで行ける選手なんていませんし、ドリブルだけでは試合に勝てません。ドリブルは試合の中での武器のひとつ。パスを生かすためにドリブルを武器として使うのです。普通にパスを出したり、遠くに出したりするのは他のチームでもやる子はたくさんいます。でも、このドリブルでボールを奪われないように相手の裏に行く方法をやっているのは他にいないから武器になるのです」と練習の多くをドリブルに割く理由について説明します。
 
練習ではもちろん、試合前のウォーミングアップも含め、毎日、徹底してドリブルを練習しますが、コツは練習では120%の力で、試合では70%くらいの力でやることだそう。
 
「常日頃からスピードを意識していれば、ゲームを70%の力でやっても相手は100%の力に感じるはずです」
 
普段から120%の力をやることで技術の向上を目指すことが重要です。そして、『試合は練習したことを発表する場』というセゾンFCの考え通り、普段から練習した事を発表するためには緊張していてはいけません。少し力を抜いた状態でリラックスするためにも“70%の力で”という考えは必要かも知れません。
 
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■努力し続けること、人の話を聞くことの重要性

取材に訪れた際も、一人一人のドリブル技術の高さが印象的ですが、土川さんは「1学年に30人くらいいるけど、本当に上手い子は5人くらい」と笑います。徹底した3年間の反復練習でセゾンFCならではの技術を身につけるのですが、一人一人上手く見えても、本当に上手い子とは速さなど差があるとも話します。
 
技術差が生まれる要因は、
 
「最近はセゾンに入れたからそれでいいという子もいます。でも、それはその子らの本当の夢ではありません。皆、プロに入りたいと思ってきてくれていると僕たちは思って教えています。やっぱり、セゾンに入れて良かったと思っている子とプロになりたいと思っている子の差は大きいですね。技術の進歩が遅れてくる子は仕方がないし、その中でセンスの有無もあると思いますが、持っているモノを磨こうとしてくれる子と“これでええや”って諦める子とでは差がつきます。そして、何かを話しかけても、聞いてへんフリして聞いている子もいるし、聞いてない素振りで聞いている子もいます。やっぱり話を聞く子っていうのは指導していく上で、3年間で大きな差が出てきます」と土川さん。華やかな技術の裏には、絶え間ない努力と人の話をしっかりと聞く姿勢が重要なのです。
 
努力を欠かさなかったのは、OBである乾選手も一緒のようです。「乾は貪欲でしたね。終わってからも1人勝手に練習もしていましたし、野洲高校に入ってからも朝早く学校に行って、自分で練習したりもしていたみたいです。仕事で家の近くを通っても、壁当てをしたりして、自分で練習していました」と振り返ります。
 
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■育成年代では勝利よりも焦らないことを大切に

ただ、乾選手がいた年代はジュニア年代では15人ほどいた選手が中学に上がると、“僕はセゾンでやりたいけど、乾が上手すぎて、ここではムリ”とほとんどが別のチームを選んだといいます。
 
「本当に出来ない子が多かった。今や世界の乾でも、彼が中学生の時は一回も勝っていません」と土川さんが苦笑いしたように、この世代のセゾンFCは大会で結果を残せませんでした。それでも、「乾は自分が将来、世界で戦える選手になりたいって夢を持っていたと思います。世界で戦える選手になりたいと思って一生懸命、練習していました。別に今は勝たなくていい。勝てないんだからムリする必要はないと、自分なりに思っていたのではないでしょうか」と分析します。
 
「勝つとなったら、選手たちは一生懸命になります。勝つという事はスポーツの世界では非常に重要なこと。でも、この年代で勝つことにこだわるのが本当にいいのか?っていうのはずっと思っています。将来への育成を考えて、落ち着いて周りを見ることも大切ですし、勝つことを目指すと一生懸命やるから、慌てて落ち着きがなくなり、忘れていくことも多くなります。試合に負けると、子どもたちが来てくれなくなるけど、それでもいいかって思ったりもします。本当の意味で勝たないといけないのは、君らが社会人になってからとよく子どもたちには言い聞かせています。僕らも負けたら悔しい。普通にすれば、そんな簡単には負けない。けど、そこで負けるっていうのは彼らの力がまだまだ出せていないからだと思います」
 
今回はセゾンFCがなぜ、ドリブルを徹底して練習するのかを通じ、育成についての考え方を紹介しました。次回は実戦編。セゾンFCの練習メニューを紹介します。
 
 
乾貴士選手(フランクフルト)や楠神順平選手(C大阪)も練習したセゾンFCのドリブルメニュー>>
 
 
セゾンFCとは?
1984年に滋賀県内初のクラブチームとして設立。高い技術を持つ選手を多く生み出し、倉貫一毅選手(京都)をはじめ、乾貴士選手(フランクフルト)、楠神順平選手(C大阪)など数多くのプロ選手を輩出している。これまで日本クラブユース選手権2回、高円宮杯全日本ユース(U-15)選手権3回出場。
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取材・文・写真/森田将義

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