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『リスペクト宣言』って知ってる⁉ 公式戦で大声や怒声を響かせるのは、もう止めよう

2016年11月30日

キーワード:サッカー大会小島洋邦関前SC

「なにやってんだよ!」「シュートを打てよ! シュートだよ!」
 
ピッチサイドから指導者や保護者が、思うがままに大声や怒声を響かせて子どものサッカーを観戦する。子どもは、そのピッチサイドの大人の様子を気にしながら、萎縮するようにプレーする……。
 
全国各地で全日本少年サッカー大会の予選が開催されていますが、まだこのような状況は少なからず見られるのかもしれません。
 
決して気分の良い光景ではありません。こういった子どもへのリスペクト、サッカーへのリスペクトに欠けた行為に対して、日本サッカー協会を中心に、さまざまな取り組みで改善への道筋が模索されてきました。
 
今回、全日本少年サッカー大会の東京都中央大会では「ちょっとした変化」があったようです。そう話してくれたのは、東京都武蔵野市の強豪町クラブ関前SCを率いて約25年になる小島洋邦さんです。(取材・文 杜乃伍真)
 
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■大人が子どもをリスペクトし、子どもが大人をリスペクトする環境づくりを

小島さんの教え子にはなでしこジャパンの岩渕真奈選手や多くのJクラブ下部組織でプレーする選手がいます。小島さんは、東京都少年サッカー連盟の役員の一人でもあり、冒頭に書いたようなリスペクトに欠けた行為を極力なくしていこうと長年取り組んできました。
 
今回、東京都少年サッカー連盟では、全日本少年サッカー大会の東京都中央大会での新たな取り組みとして、試合会場に、日本サッカー協会が掲げる「リスペクト宣言」を啓発するためのボードを初めて掲げたそうです。
 
「東京都中央大会の抽選会に集まった94チーム(東京都約800チームの代表)の全指導者たちにまず趣旨を説明して、子どもに対するリスペクト、サッカーに対するリスペクト、それらを示した日本サッカー協会の『リスペクト宣言』をしっかりと守ってゲームをします、と誓約するサインをしてもらいました。そのことを指導者たちが各々のチームに帰ったらほかの指導者や親御さんたちに周知徹底するようにしてもらい、さらに試合会場に全指導者たちがサインをしたボードを掲げることにしたのです。ボードの数は6、7枚ほどになりました。東京都少年サッカー連盟としては初めての試みでした」
 
ボードの中央には日本サッカー協会の『リスペクト宣言』のなかの『JFA行動規範』の11項目(※最下部参照)が書かれており、その周りに全指導者たちがサインしたものを試合会場に掲示したのです。
 
「その結果、すべての試合とは言いませんが、多くの試合で、よく頑張ったシーン、拍手すべきシーン、ゴールが決まった瞬間には大いに盛り上がり、それ以外のシーンでは大人たちが冷静に試合を見守る、そして子どもは熱くファイトする、そういうゲームが進行している様子が見受けられました。もちろん、そういう光景を作ることができたのは、『リスペクト宣言』のボードを試合会場に掲示したから、という理由だけではないと思います。全少に参加するチームの6年生たちの親御さんやチームの指導者たちには、子どもが低学年の頃から、これまでも何度も繰り返して趣旨を説明しながら賛同を得られるように努力は続けてきました。大人が子どもをリスペクトし、子どもが大人をリスペクトする。そのなかで一生懸命にサッカーをする、という少年サッカーのあるべき姿への理解が広く、かなり深く浸透している感触を今回改めて感じることができました」
 

■優勝するチームを除いて、大会に参加したチームには負けが訪れるもの

東京都少年サッカー連盟では、これまでも大会の開会式や閉会式でも、度々、大会委員長から指導者や親御さんに向けて「節度のある応援をお願いします」という趣旨の説明を必ずするようにしてきました。その成果がようやく目に見えたのが今回の出来事だったと言えるのかもしれません。
 
「大会に参加すればそれぞれのチームには必ず勝ち負けがあります。負けないチームは一つだけです。そのことを前提にどういうスタンスで応援をするのかが非常に大事。そういう話を多くの親御さんや指導者たちの前で何度も繰り返して伝えてきました。大会期間以外もことあるごとに啓発に取り組んできた成果が今回、色濃く出たのかなという手応えは感じています」
 
とはいえ、取り組みはまだまだ道半ば、という感覚も小島さんにはあります。
 
「今回、全日本少年サッカー大会の東京都中央大会の舞台では一定の成功を収めたかもしれません。が、各ブロック予選(各都道府県の市区町村予選に該当)では未だにベンチやピッチサイドから大人が怒鳴り声をあげている風景をしばしば見かけますし、まだまだ啓発が足りないと感じています。また、6年生の親御さんには深い理解をもらっているとしても、もっと低学年のお子さんをもつ親御さんへの啓発はまだまだ課題だと思います。
 
子どものサッカーを見始めたばかり親御さんにとって、我が子はあくまで自分のモノ、という感覚があるのは仕方がないでしょう。ただ、それがピッチサイドでの態度に出やすいのも事実なので、まずはチームを運営する各指導者たちが『リスペクト宣言』の趣旨をもっと広く親御さんたちへ啓発していかないといけません。
 
それと、日本サッカー協会は以前、『リスペクト宣言』を啓発するための冊子を配布していたのですが、それを毎年発行してもいいのではないかと感じています。選手登録した子どもたち全員に冊子を配布してもいいのではないかと思いますし、それは僕自身、東京都少年サッカー連盟の会議でも提案させてもらっていることです。やはり、協会発行のオフィシャルの冊子にしっかりと守るべきことが掲載してあれば、ピッチサイドで怒鳴り散らすような指導者や親御さんがいるときに『ここにこう書いてあるのでやめませんか?』と注意を呼びかけやすいと思います。
 
冊子も何もなく、各チームの指導者や親御さんがそういうケースに個別に対応するのはなかなか難しい側面もあるでしょう。自分は恥ずかしいことをやっていたんだ、と本人に気づかせるための何かを常に可視化して訴え続けないといけないんだと思います。冊子での効果もあるでしょうし、今回のボードが成功したのもそういうことなんだと思います」
 
 
次ページ:『リスペクト宣言』を啓発していく意味
 

 
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取材・文 杜乃伍真

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