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子どものサッカーがうまくなる方法は、答えを与えることじゃなく彼らが見つけた答えを後押ししてあげること

公開:2016年6月 9日 更新:2021年1月27日

キーワード:コミュニケーションコーチングルール伊藤守質問

前編では、日本にコーチングを広めた草分け的存在の伊藤守さん(株式会社コーチ・エィ代表取締役会長)に、コミュニケーションについて知っておくべきことを語っていただきました。今回も引き続き、コミュニケーションの図り方や条件、また子どもの行動が環境に影響を受けていることなどについて話をうかがいました。(取材・文 木之下潤)
 
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過去のサカイクキャンプにて撮影
 
<<前回記事:『「なぜ言ったことができないんだ」はNG!あなたの言葉を聞くかどうかは"子ども"が決めるもの』
 

■コミュニケーションをうまくとるのに“上下関係”はNG!

コミュニケーションをうまくとる条件を“ふたりの関係が対等であること”と、伊藤さんは話し、その理由を教えてくれました。
 
「コーチがアドバイスをすることも、一歩間違えたら上下関係が生まれてしまいます。これは、お父さんとお母さんにも同じことが言えます。コミュニケーションをうまくとるうえで重要なことは“対等”であることなので、目線を子どもと同じ高さにすることが大事なんです。理由は、下の立場から聞く人は自分の“アイデンティティ”が揺らいでしまうからです。
 
主役の聞き手はリセプターを働かせて、話し手の言っていることのなかで欲しい情報を選んでから話を聞いているんです。大人(話し手)が上の立場から物事を伝えようとしたら、子ども(聞き手)はそれを強要と捉えます。情報を選ぶ次元のことではない。だから、リセプターなんて働きません。
 
アドバイスをするリスクはもう一つあります。それは、聞き手が『発見する喜びを失う』ことで、次の目標をなくしてしまうということです。『自分で見つけた』という事実が大事なのです」
 
ようするに、話の中に自分が欲しい情報があったから喜びが得られます。欲しい情報を探しているということは、聞き手の立場からすれば主体性があり、主役を実感できる行動です。伊藤さんがサッカーを絡め、主体性をわかりやすく例えてくれました。
 
「そもそもコーチは主体的なサッカー選手を育てたいわけですよね? なぜなら、ピッチでは常に不足の事態が起こるから『自分で考えて、自分で行動する』ことができなければ、その状況を打破できないからです。ならば、いいサッカー選手の条件は主体性・自律性があることではないでしょうか」
 

■子どもにとっては、チームにどんな人間がいるのかが大事

「じつはパフォーマンスとレセプターには関係があり、子どもの行動と環境の間には驚くほど遺伝子に影響を及ぼしていることがわかりました。簡単に説明すると、子どものレセプターには育つ背景が関係しているんです。どんな会話がされてきたのか、どんな食べ物を口にしてきたのか、どんな運動をしてきたのか、どんな友達がいるのか、どんな遊びをしてきたのか…。
 
たとえば、両親がケンカをしても仲直りすれば、子どもは『ケンカをしても仲直りすればいいんだ』と、人と深く関わる土壌ができます。また、コーチが失敗ばかり指摘すれば、選手は思い切ったプレーを躊躇するように育ちます」
 
現在は情報化社会が進み、人間が生きていく環境はすごいスピードで変化し続けています。環境が遺伝子に影響を及ぼしているのであれば、その環境をつくる大人が変化しつづけなければ、子どもの環境は変えられません。こんなデータがあるそうです。
 
「ハーバード大学の研究で『幸せな人は幸せな人同士が集まる』という結果が出たそうです。逆も同じで、よく『不幸な人は不幸な人を呼び寄せる』と言いますが、その通りなのだそうです。幸せな人と直接の友達だと、15%の人が何もしなくても幸せになれる、友達の友達でも10%、友達の友達の友達でも6%が幸せになれるというデータも出たそうです。それは、年収とは関係がありません。自分のまわりに、どんな人がいるのかが大事なのです」
 
子どもにとっては“チームにどんな人間がいるのかが大事だ”ということです。ただ、子どもの行動に環境が影響しているのであれば、その環境を作っているのはコーチです。根性論を唱えるのか、テクニックを重視するのか、和気あいあいとした雰囲気を大切にするのか…すべてはコーチ次第。しかし、クラブでもスクールでも入部前から環境なんてすべてはわかりませんし、家庭の経済状況で選ぶことすらできないかもしれません。子どもの間は、限られた環境にあることが多分にあります。
 
「そもそも社会というのは理不尽なことがたくさんあります。だから、何事もおもしろおかしくやることが大切なんです。よく『楽しめ!』と言いますが、『どうやって?』と思いませんか? 楽しいと実感するケースのひとつに、何かを発見したときというのは間違いなくあります。大人の行動で子どもの『発見する喜び』を奪うことは、“楽しみ”を奪っているのと同じです。これはコミュニケーションにおける原則、聞き手が主役であることに通じるのではないでしょうか」
 
次ページ:コーチングのコツは、成功したプレーの再現性を高めること
 

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取材・文 木之下潤

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