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こころ

「ひとりで靴ひもが結べるまで30分間待った」トップアスリートの親が実践した3つのサポート

2016年4月22日

キーワード:サポートスポーツペアレンティング母親父親環境自立親子

子どものサッカーが上達するように、最大限のサポートをしたい。
 
子どものサッカーに熱心なお父さんお母さんほど、自分になにができるかを考えるものです。では、親が子どものためにしてあげられることとはどんなことでしょう。
 
今回は、トップアスリートを育てた3名のお父さんお母さんのサポートの仕方を紹介します。フェンシングのメダリスト太田雄貴選手の父・義昭さん、卓球のメダリストであり先頃引退を表明した平野早矢香選手の母・美恵さん。さらには、数々の大会で優勝経験を持つテニス界のレジェンド杉山愛選手の母・芙沙子さんのお話です。3名とも、あなたのお子さんとはプレーしている競技は違いますが、親にできるサポートという点ではとても参考になることでしょう。
 
トップアスリートを育てた親が集まり、自らの体験や知見についてディスカッションする『アスリートペアレンツアカデミー・シンポジウム』(主催・城北信用金庫)の一部をご紹介します。(取材・文 鈴木智之)
 
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日本人初のWTAダブルス世界ランキング1位となった杉山愛選手の陰には、小さいころに靴ひもを結ぶまで30分間待ち続けてくれた母親のサポートがあった。(写真 Getty Images)
 
<<前回記事『「コーチや周りの人たちが育ててくれる、親の役目はその環境をつくること」あの一流アスリートたちの育てかた』
 

■「ひとりで靴ひもを結び終わるまで30分間待った」杉山愛選手の母の場合

大学時代、心理学を学んでいた芙沙子さんは「話しやすい環境をつくらないと、子どもは話すことができない」ということを知り、子ども自身がイエス・ノーで答える質問ではなく、あなたはどうしたいの? なぜそうするの? という聞き方をすることを心がけていたそうです。さらに、子どもとコミュニケーションをとるときに気をつけていたのが“待つこと”。芙沙子さんは言います。
 
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「子どもに『あなたは、どうしたいの?』と聞いたときに、親が先回りして答えたり待つことができないと、子どもの自立にはつながらないと思っていました。愛が1歳半のときに履いていたひもで結ぶタイプのスニーカーを、彼女がひとりで結び終わるまで玄関で30分ほど待ってから散歩に出かけたこともありました」
 
自立することは、良いアスリートになるための大きな要素です。芙沙子さんは娘の愛さんが現役時代「待ってくれるコーチに恵まれた」と語ります。
 
「練習計画を立てて、目標に到達するまで待ってくれるコーチと一緒に練習をすることができたので、『目標に向かってどうしたらいいか』を考えるようになったのだと思います」
 
自分で考えて、目標に向かって進む。それが、17年に渡って世界のトップレベルで戦い続け、日本人として初のWTAダブルス世界ランキング1位、グランドスラムで4度の優勝に輝いた、杉山選手の歩みでした。
 
選手にコーチはいますが、親にはいませんコーチがいません。シンポジウムに登壇したお三方は「親が勉強をする機会が必要」と語り、そのために「アスリートペアレンツアカデミー」を設立しました。子どもは親のサポートがなければ、スポーツを続けることはできません。アスリートペアレンツアカデミーは、「親としてどのようなサポートをすれば、子どもにとって良いのか」を考える場であり、良い情報を学ぶ場でもあります。親の関わり方で、子どもはいかようにも変化します。その方法や手段を考えることは、スポーツをする子を持つ親の、大切な役目なのかもしれません。
 

■「家では競技の話はしないようにと言われていた」平野早矢香選手の母の場合

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両親が卓球をしていた影響で、5歳からラケットを握り始めた早矢香選手。小学2年生で全国準優勝をするなど、めきめきと頭角を表していました。卓球の天才少女というと、家の中でもひたすら練習をしているイメージがありますが、平野家には卓球台がないそうです。美恵さんは言います。
 
「早矢香が小学生のころは、コーチから『家では卓球の話はしないように』と言われていました。あるとき、コーチの考えと主人の考えが違ったことがあって、板挟みになった早矢香が泣いて練習から帰ってきたことがあったんですね。早矢香は『そんなに言うなら、お父さんが自分でやって!』と。そこで、主人は『おれが口出ししてはいけない』と気づいたみたいです。コーチはおそらく早矢香と接するうちに主人の行動を察していたのでしょう。『平野さんの家は両親が卓球をやっていたので、家で卓球の話は禁止ね』と言われてから、しなくなりました」
 
コーチと親の意見が異なり、子どもが板挟みになる。これは少年サッカーの現場でもよく見られる光景です。平野家はそこで「指導に関しては、コーチに任せよう」と考えて、一歩引くことにしました。
 
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全日本選手権を5度制し、ロンドンオリンピックでは銀メダルも手にした平野早矢香選手も、小学生のころはお父さんに口うるさくプレーのことを指摘されるのを嫌がっていた様子(写真 Getty Images)
 
小学生時代、練習の休みは週に一回と、ハードにトレーニングをしていた早矢香選手。美恵さんは小学校の先生をしていて、親子ともに忙しい日々を過ごしていました。
 
「練習時間が長いからといって、家族で過ごす時間が削られるのは寂しかったので、誕生日などのイベントはみんなでお祝いするよう、気にかけていました。それと、練習時間が長くなると、親子で話をする時間が少なくなるんですね。なので、練習の送り迎えの車の中での会話は大切にしていました。卓球をしていた長男が『ゲーム機がほしい』と言ったことがあったのですが、持たせると車の中でゲームばかりするようになると思ったので、『お母さんは、車の中で話をする時間が好きなんだけど』と言って、ゲームは持たせなかったんです」
 
小学校の教員をしている美恵さんは、放課後の仕事の合間を縫って早矢香選手を練習場に送り届け、また小学校に戻って仕事。練習が終わるころに学校を出て迎えにいくという、慌ただしい日々を過ごしていました。そんななかで練習以外の時間を大切にし、限られた時間で濃密なコミュニケーションをとっていたようです。
 
次ページ:「子どもが中学に上がることから弁当を作り始めた」太田雄貴選手の父の場合
 

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取材・文 鈴木智之

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