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こころ

間違った愛情から子どもを守る誓約書!? AYSOの6カ条

2013年10月25日

キーワード:サポート

 前回ご紹介した「こどもエリア」のもとになったのが、アメリカの育成関連団体のひとつAmerican Youth Soccer Organization(AYSO)が、呼びかけている「キッズゾーン」。このプログラムの詳細は、以前『大人は立入り禁止!キッズゾーンで親離れ子離れ』でご紹介した通りです。
 
<<笑顔で子どもたちを尊重できますか?ピッチに入る前のチェック事項
 
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■大人はNO!「キッズゾーン」

 簡単に復習をすると、子どもたちのサッカーに関わるすべての人たちは、下記に挙げたルールを守り、主役である子どもたちを尊重すること。キッズゾーンに指定されたエリアは、子どもたちのできることはすべて子どもに任せ、大人は立入り禁止! というエリアになります。
標識のようなキッズゾーンのロゴを見ていると、スポーツ大国アメリカといえども、保護者を巡る問題が根深いことが何となく伝わってきますね。
 
キッズゾーンのルール

 

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・キッズがNO.1
・勝つことでなく楽しみがすべて
・ファンは応援するのみ。コーチはコーチに任せる
・怒りにまかせて怒鳴らない
・ボランティアのレフェリーを尊重する
・ののしらない
・禁煙
・帰りにゴミを残さない
・子どもによい見本となる
 
 読んでみれば当たり前のことですが、禁煙を巡る問題は日本でも話題になることがあります。管理側からすれば、火災を防ぐ観点から喫煙ゾーンや灰皿の設置を考えてしまうようですが、そもそも子どもが主役のサッカー場にタバコを吸う必然性があるのかどうか……。アメリカでもキッズゾーン外の場所に喫煙所があるのかどうか定かではありませんが、少なくとも子どもたちが走り回るサッカー場にタバコは不要でしょう。
 

■サッカースクール=塾通い感覚のアメリカ

 アメリカでは、小学生年代にひとつのスポーツだけに特化してトレーニングをすることはまずありません。小、中学生のうちは多くのスポーツを並行して行う子どもが多く、そのことがアメリカに多様なスポーツに対応できるスーパーアスリートが育つ下地だと言われています。サッカーは、その中でも人気スポーツです。激しい接触プレーがなく、全身を使った運動ができる。チームとの関わり、自発的な行動が身につく。小さいうちにサッカーをやっておけば、今後どのスポーツをやるにしても対応できるという考えが一般的になりつつあるからです。
 
アメリカでは、学校教育でスポーツを指導するという概念が薄く、ベースボールや格闘技、水泳を地域の教室で習う文化があります。そのなかでもサッカーとゴルフは、あらゆるスポーツのトレーニングになると、とても人気があるそうです。車社会のアメリカでは、サッカースクールの終了後、列をなして迎えに来るお母さんたちを「サッカーママ (soccer mums)」と呼び、その言葉が流行語になるほどです。これは日本で言う「教育ママ」「ステージママ」のような意味合いも含んでいるようで、過度の親の期待が子どもたちに余計なプレッシャーをかけている状況は、どの国でも同じと言うことでしょうか。
 
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■子どもたちを守る誓約書

こうした保護者の「間違った愛情」を抑止するために、アメリカでは、保護者に対する誓約書を制定し、これに署名をしてもらっています。誓約を守らなかった親には退席をお願いするという徹底ぶり。さすがに契約社会アメリカですね。
 
AYSOのキッズゾーンにも誓約書があります。
守らなければいけない上項は次の6項目です。
 
1.私は、子どもを練習や試合に送る際に、時間に遅れないようにすることを誓います。子どもにとって試合や練習への遅刻は非常に困ることであり、また適切なウォームアップができないことで、子どもの身体に悪影響を及ぼす可能性があります。
時間を守ることは時間を割いてくれるコーチに対する敬意であり、また私たちにとって子どもが一番の優先事項だと言うことを子ども本人に伝えることにもなります。
 
2.子どもたちがスポーツをする理由は、楽しいから、新しい友だちができるから、新しいスキルを覚えることができるから、という3つです。ゲームは子どもたちのためのものであり、私は子どもがスポーツを楽しむように導き、スポーツへの気持ちが正しい方向から外れないように配慮します。スポーツ選手は感情的に健康な状態にあるときにベストを尽くすことができるのです。私はそれをポジティブにサポートする役割を果たします。
 
3.私は子どもと話し合って勝者とは何かを再確認します。勝者とは最大の努力をする者、学び続け向上し続ける者、ミスをしたからと言って、あるいはミスすることが怖いからといって努力をやめてしまうことのない者を指します。ミスはゲームの一部であり、避けられないものです。人はミスから学びます。すべての子どもたちは異なる才能を持って生まれてきます。比較とは、他人と比べることではなく、最高の自分と比べることだということに同意します。
 
4.私はゲームを尊重します。子どもに対しスポーツマンシップのよいお手本になるよう、コーチ、対戦相手を含むすべての選手、レフェリーをはじめゲームに関わるすべての人に敬意を払い、レフェリーや選手、コーチであってもミスはするものであることに同意します。
 
5.ゲームは子どもにとってエキサイティングなものであることに同意します。子どもたちは目の前でめまぐるしく展開するゲームに対処し、相手の動き、チームメイトの動きに連動してプレーします。コーチの助言やレフェリーの指示に従う子どもたちに、さらなる指示を与えたり、大声で叫んだりすることで子どもたちを混乱させないことを誓います。試合中は両チームのプレイヤーを励ます以外の言葉を発しません。
 
6.私はゲーム、コーチ、レフェリー、あるいはチームメイトに対し、子どもの前でネガティブなコメントをしません。ネガティブなコメントは子どもの中に根付き、モチベーションや経験全体にネガティブな影響をもたらすものです。
 
上記の通り、誓約に同意し、それに従い行動することを誓います。
 
親 署名                    子ども氏名
 
 
どうだったでしょう。アメリカらしく、権利には責任、親が果たさなければいけない役割について、その理由も含めて細かく書いてありますね。
 
 たとえばこれを、チームに入ったばかりの親御さんに、コーチがいきなり見せて署名を迫るのはやはり抵抗があります。AYSOは“いちクラブ”ではなく、サッカーにおける子どもの健全な育成に寄与する団体だからこそ言えるものでしょう。とはいえ、この誓約書に書かれていることは、国を越えて保護者が気をつけなければいけない、胸に留めておかなければいけないことばかり。サッカーに関わるすべての人に目を通してほしい誓約書です。
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/新井賢一(ダノンネーションズカップ2013より)

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