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子どもの心を育てる "ステキな家族の関係"とは?

2012年5月 4日

キーワード:コミュニケーションコーチング育成

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ヴィッセル神戸ユースの監督として、Jユースカップで優勝を経験し、現在は姫路獨協大学でサッカー部の監督を務める昌子力(しょうじちから)さん。息子の昌子源(しょうじげん)選手は去年、鹿島アントラーズに入団したセンターバックでもあります。“コーチ”としてだけでなく、“選手の親”としての顔も持つ昌子さんだからこそ分かる親の心構えや子育て論についてお聞きました。サッカー選手の親御さんは必読です。
 
 

■コミュニケーション力は親の背中を見て育まれる

――息子さん(源選手)がサッカーを始めたきっかけは?
 
「息子は僕ら夫婦がサッカーを観ていたり、嫁さん(元・ソフトボール日本リーグ選手、Lリーグ田崎ペルーレの直美さん)とスポンジボールで遊んでいたりしたら、息子も自然と入ってきてサッカーを始めたんですよ。父親がサッカーをしている姿を見て知ったというより、嫁さんがやっていたママさんサッカーの姿の方が記憶にあると思いますね。僕がサッカーしている姿なんか見たことないでしょうし」
 
――日常にサッカーがあったんですね。子育てで気を使われていた部分は?
 
「“明るく”っていうのが大事ですよね。夫婦が明るくしていれば、子どもはほっといても明るくなります。うちの場合はその横にたまたまサッカーがあった。そういうシチュエーションはすごく大事だと思います。以前に本で読んだのですが、様々な種目のオリンピック選手の親に対して実施したアンケートの中に(子どもがプレーした)競技は違えど親として思っていたことのいくつかに共通した項目(答え)が何個かあったそうです。
 
もちろん100%じゃないですよ。でも、かなりの多くの親が言っていました。コミュニケーション力って親の背中を見て育まれると思うんで、親が人と明るく接するというのが重要。そこがしっかりできる選手は世界に出てもオープンにできるし、物怖じしないとか、引っ込み思案にならないとか、明るく誰とでも振舞えるようになる。持って生まれた素地に影響与えている部分は大きいと思いますね」
 
――こころの教育がスポーツに生きてくると。
 
「そのアンケートの共通項目は他にもあって“子どもにオリンピック選手になったり、プロ選手になって欲しいと思っていなかった”そうなんです。うちの場合もそうでした。僕も嫁さんもサッカーしていたから、そりゃサッカーしてくれれば嬉しいですよ。でも、息子に対して強制はしてこなかった。
小学校の時に関西選抜に入って、MF宇佐美貴史(現・バイエルン)、大森晃太郎(現・ガンバ大阪)、FW杉本健勇(現・東京ヴェルディ1969)、宮吉拓実(現・京都サンガFC)とかそうそうたる面々とやっていました。そこで出会った子らと一緒にガンバのジュニアユースに進んだんですけど、当時は身体が小さいということもあって、途中でサッカーを辞めてしまった。でも、それはそれで僕らはいいし、関西選抜入って良かったなぁ。友だち増えてよかったなぁってくらいでした」
 
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■サッカーが特別なものではなく、日常としてあったのが良かった

――その後、源選手は米子北高校に進みました。
 
「あそこに進んだのは監督が僕の大学の後輩でしたし、JFAインストラクターをしていたときに米子北高校のコーチが受講生にいたりで何かと縁があったんですよ。『息子さんどうするんですか?』って声をかけてもらったんで練習会に参加したのが最初でした。その時に米子北高校の一年先輩の世話係をしてくれた選手が関西出身だったんです。練習会の帰り際に“今度、またおいでや~。待ってるで~”って声をかけてくれて、一気にその気になって進学を決めたんです。その時、僕は米子北で全国大会に出てほしいとか全国優勝してほしいとか思ってなかったし、ましてやJリーガーになるとも思ってなかったです。ただ、元気良くサッカーをやって楽しく充実した高校生活を過ごして欲しいとしか思っていませんでしたよ」
 
――入学後は総体、選手権で全国ベスト8になりました。
 
「そんなことよりも、サッカー好きでいてくれたことが嬉しかった。またサッカーやるって言い出したんやし、好きなとこでやってくれたらいいやんと。そしたら、こないなってもうて(笑) プロにするために何とかしようって源と話したことはなかったですし、もちろん僕らが育てたとも思わない。小学校時代にのびのびやらしてくれたコーチやったり、ガンバ時代に狭いスペースでの技術を叩き込まれたり、皆のおかげですよ。幸いにも誰一人“こうならあかんぞ”とかプレッシャーをかける人はいなかったのが良かったですね」
 
――お話をお聞きしていると周囲の方に恵まれてきた印象を受けます。
 
「僕がこれまで観ていて大事だと思うのはサッカー好きであるとか、辞めない心をいかに育むかということ。後は行ったところ、行ったところで可愛がられることですよね。そういう子は叱咤激励、しごきも含めて色々授かりますね。苦しさも身になるといいますけど、期待してない子にはしごきませんしね。愛のムチですね。そういう面では最初に戻りますが、明るい家庭で育む心というのは大事なんです。
 
いくらサッカーが上手くても心がついていけなければ宝の持ち腐れですし、いくら心があってもやはりプロの世界ですから匠の技は必要ですよね。高校年代はそれまでに培った技術・戦術をより早くより正確により効果的により決定的に実施する強さと速さを養う時期ですから厳しさは必須でしょう。それに打ち勝つ辞めない心・好きになる心・そして可愛がられる人間性ですね」
 
――昌子さんのお話をお聞きしていると夫婦仲の良さが伝わります。
 
「オリンピック選手の親にとったアンケートの共通点には“家に帰って子どもの試合のことを言わない”というのもあるんですが、子どもやサッカーを通じて、夫婦の会話をするのは大事。お父さんが無関心でも、お母さんが無関心でもダメ。僕の場合、指導者なんで観てない試合について、あーだこーだというのが嫌だから、一方的に聞いて、子どもがばーっと言うのを聞いていただけで、それがいいとか悪いとか言わなかった。でも、うちは嫁さんが試合を良く観に行っていたのでああやったこうやったと横から口を挟んでくれる。そしたら、息子が“それちゃうで~”とか言うことで、夫婦だけでなく家族の会話が弾んでいた。ケンカなんかしたことないですよ。子どもが怒ったこともないし、嫁さんが子どもに怒鳴ったこともない」
 
――ステキな家族の関係ですね。
 
「嫁さんがよく言うんですよ。“家の中で、3人でボール使って遊んだりはしていたけど、うちの子はホント自主練とかはしなかったよね”って。サッカーが特別なものではなく、日常としてあったのが良かったと思います」
 
 
【昌子さんのインタビュー記事】
「ギリギリの経験が子どもを伸ばす」ジュニアの指導者に大事な心構え
こんな選手は苦労する?少年サッカーで見落としがちな蹴る技術
 
 
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昌子力//
しょうじ・ちから
大阪体育大学卒業後の1986年に神戸FCのスクールコーチに就任。育成年代の各カテゴリーで指導を行う。1995年にヴィッセル神戸に移籍、1999年にヴィッセル神戸ユースの監督に就任すると、その年のJユースカップでいきなり優勝を果たしチームの礎を築いた。現在は姫路獨協大学のサッカー部監督としてだけでなく、准教授としても教壇に立つ他、日本サッカー協会ナショナルトレセンコーチを歴任した後、兵庫県サッカー協会の技術委員会委員長を始め、指導者養成講習会インストラクターなど“指導者の指導者”を務める。
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取材・文/森田将義、写真/森田将義、サカイク編集部(ダノンネーションズカップ2012より)

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