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長友佑都のトレーナーが語る海外と日本の違い 物事の見方が姿勢にも影響する!?

公開:2019年6月19日

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大阪で子どもの育成に関するトークイベント「フットボールナイトin梅田」が6月10日に開催されました。日本代表DF長友佑都選手の専属トレーナーを務める鬼木祐輔さん、コンスタントにJリーガーを輩出する興國高校内野智章監督、6度の全国優勝に導いた高校女子サッカー界の名将・日ノ本学園高校田邊友恵監督の3人が出席しました。
(取材・文・写真:森田将義)

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長友佑都選手の専属トレーナーを務める鬼木祐輔さん

■身体の使いかただけではない、「comeの概念」の違い

トップバッターとしてマイクを握った鬼木さんは、2017年10月から長友佑都選手のサポート役として活動する中で感じた、海外と日本との身体の使い方の違いについて話しました。日本で活動していた以前は、身体の使い方を工夫すれば、海外の選手と同じようなプレーができると考えていましたが、ヨーロッパに渡るとそもそもの考え方が間違っていたことに気付かされたと振り返ります。

「言語学なども勉強するうちに日本人、ヨーロッパのようにフットボールを文化にしている国の人では見えている世界が違うのでは、と思ったんです」

日本にはあって、海外にない「もったいない」、「いただきます、ごちそうさま」といった感覚とは反対で、海外にはあって日本にはない感覚がプレーに大きく影響していると鬼木さんは話します。

一つ目は物事の見方です。まずはピッチ外のやり取りコミュニケーションを例にとって説明します。日本語は、常に自らの目線を基準にした言葉を発します。誰かと会話する際も、自分と同じ景色が見えているのが前提でコミュニケーションを進めますが、違った景色を見ていることが原因で揉めることも珍しくありません。サッカーで言えば、同じピッチにいてもそれぞれが違った景色を見ているため、ズレが生じて上手く行かないのです。

しかし、英語やラテン語などサッカーが盛んな国の多くが使う言語は、神の言葉が書かれた聖書が元になっているため、神の目線が言語の基準です。上から俯瞰した状態、すなわち自分が含まれた景色を基準に言語が成り立っているため、他人と認識のズレが出にくいのです。

そういった文化背景もふまえた気づきとして、日本人は視界から情報を得ようとするため前のめりになり、姿勢が悪くなりますが、海外の人たちは上から物事を見ようとするため、姿勢が良くなるのではないか、とも鬼木さんは指摘します。

もう一つは、鬼木さんが「comeの概念」と呼んでいるサッカーに対する認識の違いです。

日本では、チャンスになるとボールに吸い込まれるように寄っていってしまう選手が多くいます。相手のPA内で顕著に見られる場面で、FWはニアで潰れるように指示されるなどゴール前で待ち構えることが多いのですが、海外ではPA内にボールが入ると後方からゴールに向かって真っ直ぐ走りこみ、ゴールネットを揺らす場面が少なくありません。

鬼木さんは「ゴールに向かって走っていれば、自然とマークが外れている場面が多い」と説明します。こうした動きの違いが、ゴールに向かうスピード感と躍動感が違いとなっているのではないでしょうか。日本人にとっては一連のプレーの目的がまずボールに合わせることになりがちですが、とにかくゴールすることが目的になれば、動きも自然と変わってくるのです。日本で暮らしている以上、全ての習慣を海外と同じようにするわけには行きませんが、こうした違いを意識すればプレーがより良くなっていくかもしれません。

高卒でプロになれなくても、チャンスはつかめる

内野監督と田邉監督は、イベント参加者からの質問に答える形で、育成についての考え方を述べました。

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興國高校 内野智章監督

「ヴィッセルの試合で古橋亨悟選手が印象的だったのですが、入学した時から良かったのですか?」と興國高校のOBに関する質問に対して、内野監督は「奈良県トレセンを中学3年生の時に落とされ、大阪の強豪校のセレクションも落ちた選手だった。今みたいにプロで活躍する選手になるとは思っていなかった」と振り返ります。

高校時代も、1歳上と1歳下の代から2人ずつプロ入りを果たしましたが、古橋選手は夢を果たせず中央大学に進学。大学では1年目から様々なJクラブのキャンプに参加しましたが全てのチームが獲得を見送り、4年生の12月の時点では進路が決まっていませんでした。

しかし、ちょうどウイングを探していたFC岐阜の練習に参加すると、50m5秒8の快足が目に留まり、すぐさま加入が決定。プロ2年目で二桁得点を記録し、J1でのプレー機会を手にしました。内野監督が「彼は持っている選手」と話す通り、決して順調なキャリアではありませんでしたが、訪れたチャンスをきっちり物にできるのも古橋選手の魅力かもしれません。

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日ノ本学園高校 田邊友恵監督

 

田邉監督には、日ノ本学園のOGで昨年はなでしこジャパンにも選ばれたDF國武愛美選手(ノジマステラ神奈川相模原)の高校時代に関する質問が飛びました。

監督曰く「身体能力が高くて、怖がらずに人に行けるのでCBとしての能力は高かったけど、精神面が未熟だった」國武選手ですが、武蔵野短期大学シエンシアとノジマで選手として成熟し、飛躍を遂げました。「彼女のような選手が代表に呼ばれたのは選手を育てる上での基準になった。今の子どもたちにどんな指導をすべきか考える際の参考にしている」と田邉監督は明かしました。

育成年代のスペシャリストである3人の話を聞こうと開催地の関西だけでなく、関東、東海、四国からも多くの人がイベントに参加。大盛況で幕を閉じました。指導者の方も多く参加しており、今回聞いたことがこれからの選手育成に活かされていくことは間違いないでしょう。

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取材・文・写真:森田将義

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