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サッカー豆知識

日本代表×セルビア戦はキックに注目! 旧ユーゴ育成指導の秘密

2013年10月11日

キーワード:キック日本代表欧州サッカー

 日本時間の今日深夜(土曜0:30)にキックオフされるのは、日本代表のセルビア代表戦。いよいよザッケローニ監督が待ち望んだアウエーでの厳しい戦い、欧州遠征が始まります。
 
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 対戦相手のセルビア代表は、W杯欧州予選こそベルギー、クロアチアに阻まれすでに敗退が決まっていますが、欧州のトップクラブで活躍する選手が多くいる強豪。同組のクロアチアとは、元々はユーゴスラビアという同じ国だったことはみなさんご存じでしょう。
 旧ユーゴスラビアといえば、先日、名古屋グランパスエイトの監督を勇退する発表したストイコビッチ監督や、元日本代表監督のオシムさんをはじめ、日本との関係が浅からぬ国。今日は、セルビア代表と、かつて“東欧のブラジル”と呼ばれたユーゴスラビアについてのお話です。
 

■3つの国でW杯出場したスタンコビッチ

 1991年、ユーゴスラビアはセルビア・モンテネグロ(新ユーゴ連邦)、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニアに分かれることになります。ここからさらにセルビアとモンテネグロが分離。サッカーのセルビア代表はこうした複雑な経緯を辿って誕生します。
 
 ちょっと複雑ですよね。様々な経緯があって誕生したセルビア、旧ユーゴスラビアの歴史については、またの機会に譲りますが、セルビアの変遷については、実は日本戦が引退試合となるスタンコビッチの代表キャリアを辿っていけばわかってしまうのです。スタンコビッチはインテルで長くプレーした長友選手の元同僚です。そういえばラツィオ時代には現在セルビア代表を率いているミハイロビッチとともにザッケローニ監督の指導を受けていますね。
 
 35歳のスタンコビッチ選手は、1998年、ユーゴスラビア代表にデビューし、同年のフランスW杯にも出場を果たします。その後はセルビア・モンテネグロ代表としてドイツW杯に出場。このときは大会直前にモンテネグロの独立が決まるとう前代未聞の状況で戦いました。さらに2010年南アフリカ大会ではセルビア代表として本大会に出場。スタンコビッチは3つの国の代表としてW杯に出場したという世界でも例を見ないキャリアの持ち主です。
 

■“東欧のブラジル”ユーゴスラビアの秘密

 ストイコビッチをはじめ、ミランなどで活躍したサビチェビッチ、ボバンにレアルで得点を量産したミヤトビッチ……。挙げればきりがないほど、旧ユーゴスラビアから本当に多くの天才肌のプレイヤーが生まれています。彼らの多くはストリートサッカーで技を磨いたという逸話を持っています。ボールさえあれば、そこかしこで自然発生的に行われるストリートサッカー。ユーゴスラビアはまさに“東欧のブラジル”と言っていい存在でした。
 
 また、国内にはレッドスター・ベオグラードという強豪クラブがあり、才能ある選手たちの多くはレッドスターを中心とする育成システムによって育っていきました。彼らのテクニックの秘密はなんなのか? 
 
 ジェフ千葉の往年の名外国人選手、ユーゴスラビア出身のマスロバルがインタビューで答えていたのは、徹底した反復練習と科学的根拠に基づいたアプローチでした。マスロバルによると、少年時代には足下を強制的に見えなくさせる特製ゴ-グルをつけて練習したといいます。次々とワールドクラスのテクニシャンを輩出してきたユーゴスラビアは、多くの指導者を育てた国としても知られます。そこには、世界で活躍する選手を育てる独自のノウハウがありました。
 
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■キックはインステップから 強シュートの蹴り方

 旧ユーゴスラビアからセルビアに受け継がれるもうひとつの特徴といえば“強シュート”です。ストイコビッチもそうですが、先ほど登場したマスロバル、現在セルビア代表監督を務めるミハイロビッチは、フリーキックの名手として知られます。特にイタリアを主戦場に活躍したミハイロビッチはDFでありながらセリエA通算41得点。FKだけのハットトリック、FK最多得点記録を持ち“ボンバー”“偉大な左足”の異名をとりました。
 
 旧ユーゴスラビアの選手たちはなぜ強いシュート、速いシュートが打てるのでしょう? 旧ユーゴスラビアの国のひとつであるスロベニアでコーチングを学び、東欧のサッカー事情に精通されている濱吉正則(元ギラヴァンツ北九州コーチ)さんが様々な機会にお話しされているところによると、ユーゴスラビアでは、サッカーを始めてすぐの子どもに、まずインスッテップキックを教えるのだといいます。インステップを基本に、アウトサイド、インフロントそして最後にインサイドキックを覚える。小学生のサッカーを観ていても、日本の指導現場では丁寧で正確に蹴ることができるインサイドキックから教えることが多いように思います。旧ユーゴスラビア諸国では「キックの動作がまっすぐなインステップは最も自然なキック」との考えから、いまでもキックへのアプローチはインステップキックからはじめるそうです。
 
 インパクトの瞬間、ボールが変形していそうな強シュートを放っていたミハイロビッチの場合はもっと秘密がありそうですが、もしかしたら、強いシュートを蹴る秘密の一端はこの指導方法にあるのかもしれません。
 
 もちろん、日本代表と戦うセルビア代表にもこの系譜はしっかりと受け継がれています。今回のセルビア代表にも選ばれているマンチェスターシティの左サイドバック、コラロフは“セルビアのロベルト・カルロス”と呼ばれ、ミドルレンジからの強シュート、ロングレンジのFKを得意にしています。日本代表は中盤の深い位置でも彼のシュートに要注意。今日の試合では、まだユニフォームの方が似合いそうないかつい風体でピッチサイドにたつミハイロビッチ監督と左足を振り抜くチャンスをうかがうコラロフ、そしてセルビアの選手のキックに注目して観戦してみるのはいかがでしょうか。
 
<<欧州遠征第1戦>>
対戦カード:セルビア代表 対 日本代表
試合日:2013年10月11日(金) 
キックオフ:現地時間17:30(日本時間 翌12日0:30) 
会場:カラジョルジェスタジアム 
放送:日本テレビ系にて全国生中継、NHK-BS1にて全国生中継 
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹

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