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サッカー豆知識

たくさんの思い出と感動をありがとう! ストイックに戦い続けた中山雅史選手の名言

2012年12月14日

キーワード:Jリーグコンサドーレ札幌ジュビロ磐田

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 サッカーのエッセンスが詰まった名言からサッカーを知るこのコーナー。今回は、先日現役引退を発表した日本の誇る『炎のストライカー』中山雅史選手の言葉です。長らく日本サッカーを牽引し続けてきた中山選手。抜群の得点感覚でゴールを量産。2度のJリーグ得点王、4試合連続ハットトリック、開始3分15秒での世界最短ハットトリックなど、記録に名を残しただけでなく、その愛すべきキャラクターと発言で記憶にも残る偉大な選手。“ゴンちゃん”“中山隊長”の愛称で呼ばれサポーターから慕われながらも、ピッチの中ではストイックに戦い続ける、すべてのサッカー選手が見習うべきプレーヤーでした。
 
『神様お願い』という前に、やれることはやり尽くしてピッチに立ちますよ
                               中山雅史
 
 中山選手はよく自らのプレーを「ヘタクソ」と表現します。中山選手のプレーを分析すると、そこには彼独特の「点をとる技術」が盛りだくさんに詰め込まれているのですが、たしかにズバ抜けたスピードで相手をぶっちぎるわけでも、ドリブルで相手を抜き去るわけでも、華麗な足技を披露するわけでもありません。しかし、優秀なプレーメイカーが多数生まれた日本サッカーのこの20年、中山選手はそのほとんどのプレーヤーより長く一線級でプレーしました。中山選手が輝き続けられたのはなぜでしょう?
 

■気持ちのこもったプレーで人々を魅了した“炎のストライカー”

 日本サッカーの方向性をある意味決定づけた出来事のひとつ「ド-ハの悲劇」。アメリカW杯予選を戦うチームにも中山選手はいました。当時はスーパーサブとして出場、限られたプレータイムのなかで結果を出し続け、何度もチームの窮地を救いました。特に多くの人の心に残っているのがイラン戦でのゴール。
 
 W杯への期待を背負って戦う日本代表は、後半40分、イランの英雄、アリ・ダエイにゴールを奪われ2点のビハインド。チームに漂う嫌なムード。そんな空気を一掃したのが、この日も後半途中から投入されていた中山選手でした。
 
 ダエイのゴールから3分後、イラン陣内深くにボールが転がります。中山選手はゴールラインを割りそうなボールめがけて猛ダッシュ。イラン選手も「ラインを割るだろう」と高をくくっていたボールに、飛びつくようなスライディングで見事に追いつき、そのままルックアップすると何の躊躇もなくシュート。まったく角度のないところから放たれたシュートはそのままゴールに吸い込まれます。さらに中山選手は自らのゴールを喜ぶことなく、一目散にボールに向かい、拾い上げたボールを抱えて鬼の形相でセンターサークルに走りました。
 
「時間がない。勝たなければ意味がない」
 この一連の動きは誰の目にも自然に見えたはずです。でもこうしたプレーを目にすることは意外と少ない。気持ちのこもったプレーは、お茶の間で手に汗を握って応援していた人たちの心を鷲づかみにしました。
 
 98年フランスW杯に初出場を決めた日本代表でも中山選手は輝きます。ジャマイカ戦で日本人初となるゴール。その直後のプレーで骨折していたにもかかわらず、試合終了まで走り続けました。その後のコメントがまた振るっています。
 
「わかったことは、骨折しても走れるってことと、骨折してまで走ってはいけないこと。良い子はマネしないように」
 ケガのときは安静第一。子どもたちには真似して欲しくないプレーですが、そこをフォローしてくれるあたり、さすがの一言です。
 
 気持ちとプレーが一致した姿。サッカー選手として、いま自分ができることを全力で、当たり前にやる姿。中山選手のプレーの魅力はこの辺にありそうです。
 
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■ヘタクソだから向上できた

 中山選手もベテランの領域に入り、サッカーを続ける理由を問われることが増えてきました。あるとき質問に答えて自分がサッカーを続けられる理由をこう語っています。
 
「サッカーに慣れることはない。だってヘタクソだから。下手で苦労している部分もあるけど、下手で幸せな部分もある。本当はサッカーが上手くて幸せがいちばんいいんだよね。でもそうするとマンネリするかもしれない。向上心がわかなくなるかもしれない」
 Jリーグ・ジュビロ磐田で得点を重ねていた頃、相手チームのDFが「中山は年齢を重ねるごとにどんどん上手くなっている」と驚いたそうです。高原直泰選手とのコンビで相手チームを震え上がらせていたときも、オフザボールの動きを身につけ、有望な若手FWの能力を引出した上で自らもゴールを上乗せしていきました。45歳まで現役を続けられたのも、この飽くなき向上心の賜なのでしょう。
 
「相手はいるんだけど、敵は自分自身なんだよね」
 盟友・カズの言葉です。バロンドール初代受賞者にして、50歳までプレーした伝説のプレーヤー、スタンリー・マシューズもこんな言葉を残しています。
「自らを厳しく律し、フットボールへの情熱を失わなければ、40代になっても20代の頃を上回るようなプレーができる」
 
 自らをヘタクソと断じ、だからこそ常に前を向き、上を目指してプレーし続けた中山選手。引退会見でも「こんな下手くそな選手を長い間応援してくださり本当にありがとうございました」と、頭を下げました。40代にして成長し続けた中山選手のプレーは、サッカーをプレーする子どもたちにとっても何よりのお手本になるはずです。
 
 長年しのぎを削ったライバル秋田豊選手の引退試合で中山選手は言いました。
 
「寂しくなったらいつでもかかってこい。お疲れ様でした」
 多くの名言、迷言? を残した中山選手に、いま多くの人たちがこう思っているはずです。
 
「寂しくなったらいつでも戻ってこい。お疲れ様でした」
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/サカイク編集部

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