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インタビュー

『FOOT×BRAIN』プロデューサーに聞く! サッカー育成に対するこだわり

2013年2月12日

キーワード:育成

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前回に引き続き、サッカーファンの人気を集めている『FOOT×BRAIN』のテレビ東京プロデューサー、加固敏彦さんのインタビューをお送りします。今回はサカイクでも発信しているジュニア世代を中心とした「育成」に対する考えを中心にお聞きしました。
 
 
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■育成に対する『FOOT×BRAIN』のこだわり

―番組として、サッカーの育成についてはどのように考えていますか?
 
たぶん、育成をテーマとして取り上げている回数はいちばん多いのではないかと思います。それは育成が大事だということを最初から思っていたわけではなく、テーマを探してサッカー界のいろいろな人と話をしているうちに、やっぱり育成は日本のサッカーが強くなるために、急がば回れではないですが、いちばん大事なことだとスタッフも含めて気付いたというのが実際のところです。
 
香川(真司)選手が最初に出演してくれたときも、彼がすごいということではなく、彼のようなプレーヤーがどうやって生まれたのか。あのときのテーマも育成でした。香川真司選手がゲストであっても、単にすごいですね、ではなく、なぜすごいのかを解析したほうが面白いという意見がスタッフの中でも多かったです。
 
―育成で特に面白かったと感じる回はありますか?
 
そうですね。高木兄弟は、あざみ野FCという神奈川のクラブ出身なんですよね。お父さんはみなさん知っているように元プロ野球選手の高木豊さん。水沼貴史さんがそのときのアナリストで、水沼さんのお子さんも今は鳥栖で活躍されていますが、少年時代はあざみ野FCに所属していて、もう引退した玉乃淳さんもあざみ野FC出身。
 
あの回は印象に残っていて、あざみ野FCをなぜ取り上げたのかというと、いわゆるすごい選手を集めたアカデミー的なクラブではなく、ただの街クラブなんですよ。たまたますごい選手が結果的に出ているけど、最初からすごい選手を集めて成り立っているクラブではない。それが出てくるということは、あざみ野FCって何だと。
 
全国に少年少女のチームはいっぱいあると思いますが、どのチームもあざみ野FCになれる可能性がたぶんある。それは昔のヴェルディのジュニアユースとか、プロのあるチームが下の世代まで面倒を見ると、そもそもセレクションが行なわれていたり、全然違うカテゴリーになると思いますが、あざみ野FCは、好きでサッカーをやっている子どもたちのモデルになるのではないかと。子どもたちのサッカーはすごく大事で、プロが教えているとか、伝統あるチームとか、少なくとも小学生の段階では、そういうのは考えなくていいと思うんですよ。全員がプロを目指しているわけではなく、好きでサッカーをやっているなかで、プロになる可能性を残しながらサッカーを楽しむだけの人がいるとか、そういう理想の街のサッカークラブが増えればいいと思いますし、サッカー関係者はみんなそう思っているところもある。あざみ野だけではないですが、あざみ野を取り上げた意味はそういうところにあります。
 
サッカーを中学でやめる人もいるし、高校でやめる人もいるし、大学までサッカーをやる人はほんの一握りだと思います。番組としても、"プロサッカー選手を育成する"というテーマではないですよ。ずっとサッカーを好きでいられるためには何ができるか。JリーグやJFAもそうですね。プロ選手に育ってほしいとみんなが思っているわけじゃなくて、どこかでサッカーをやめる時期が来ても、死ぬまでサッカーを好きでいてほしいと。やめた後もスタジアムに行こうとか、番組もそういうことに貢献したいと思うのです。
 
―Jリーグも「サッカーだけをやれ」とは言っていないですよね。いろいろなスポーツを経験したほうが人としても幅が広がり、結果、プロ選手になったとしても生きると。番組のサブタイトルに使っている"日本サッカー"と日本代表は必ずしもイコールではないですね。
 
その通りです。日本サッカーというのは全体です。少年少女もそうだし、女子サッカーもそうだし、フットサルもサッカーというカテゴリーに入っています。"強い"というのは競技性だけではなく、人格もそうだし、サッカー大国とは何かというところにどれだけ近づけるかだと思います。
 
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■宇佐美選手を生み出した環境と、親の役割

―今後、育成の分野で取り上げていきたいテーマはありますか?
 
かなりサッカーっぽくはなりますが、今、アンダーのカテゴリー、ユース世代は世界大会出場を逃していますよね。A代表が強いと言われてワールドカップでも次はベスト8かベスト4かと言われている中で、アンダー世代が、今ちょっと苦しんでいると方々から聞こえてきます。
 
次の次くらいのA代表をどうするのかと考えたときに、今のアンダー世代はどういう指導をしているのか。15歳から20歳くらいのトップ選手をどうやって育成するのかを一回取り上げたいなと思っています。
 
―そのほかにはありますか?
 
もっと下の年代というのはさすがに扱っていないと思います。たとえば幼稚園とか、小学校低学年とか。テーマとしては取り扱っていませんが、バルセロナに行った久保建英君とかがいますよね。彼がどうやって出来上がったのかとか、興味はありますね。そういう子が出てくるのには、ひょっとしたら何か理由があるのかなと。
 
小学校低学年の現場ではどういうふうにサッカーの指導をしているのか、普通は取材をする機会はないですよね。本当にそのための取材をしようと思わないと。『FOOT×BRAIN』ならありかなと。いけなくはないですよ、この番組なら。
 
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―子どものお父さん、お母さんの理想の姿についてはどのようにお考えですか?
 
子どもは、サッカーをする環境を自分で整えることはできないですよね。だからそれはやっぱり、親御さんがある程度フォローしていかないといけないと思います。
 
先日オンエアしましたが、宇佐美(貴史)選手は朝から晩までサッカー漬けということでした。「自分は朝から晩までサッカーしかやってなかった」と。そこまですべきか、うまくなったのはそれが要因なのかという問題は別として、宇佐美選手が後から聞いたところ、お父さんがグラウンドの隣りに家を買ったそうなんです。それは自分の目の届くところで、サッカーを夜ご飯の直前までできるようにして、「ご飯だよ」と呼びに行くような環境。
 
それを宇佐美選手は今になって、「あ、そうだったのか。自分のためにグラウンドのとなりに家を買ってくれたのか」と、最近わかったそうです。当たり前ですよね。家のそばにグラウンドがたまたまあったと普通は思いますよね。そのために家を買うことは普通ないから。
 
これは極端な例ですが、親はそこまで考えてあげていたということです。移動時間も少ないほうがいいと、そこまで考えてあげた。僕の知り合いにもそうして子どものとき親と二人三脚でスポーツと向き合っていた友達がいました。サッカーだけではなく、テニスやゴルフはもっとお金がかかるし、親が本当に面倒をみないとできないスポーツなんですよ。テニス選手やゴルフ選手になった人は、やっぱり親御さんが送り迎えを含めてかなりサポートしていたという人が多いので。
 
そういう意味でいうと、経済的な観念もありますが、親がどれだけ辛抱して子どもに付き合えるのかということもあると思います。それをやれ、というわけじゃなくて、やってあげられたら子どもは嬉しいんだろうなと。きっと、それだけ伸びるわけですから。
 
―子どもへの関わり方として、一生懸命なあまり干渉し過ぎたり、監督に口を出してしまう方もいると聞きますが。
 
それは別問題ですよ。親は環境だけを整える。「ああしろこうしろ」というのは、宇佐美選手も言われた記憶がないと言っていました。好きなようにやってらっしゃいと。親に「こうしろ」と言われた記憶がないそうです。
 
―宇佐美選手自身のサッカーをやりたい気持ちを大切にしてくれたわけですね。
 
サカイクでも"自分で考えるサッカーを子どもたちに"というテーマを掲げていますよね。まさにこれですよ。これは本当に素晴らしいと思います。親も、子どもが自分で考えるように環境を整えるのがいいのではと。やらされているのではなくて、やりたいと思わせる環境を作るのが大事ではないでしょうか。サッカー選手になった人はみんなそう言いますね。
 
 
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加固敏彦//
かこ・としひこ
テレビ東京スポーツ局1997年入社。スポーツニュースの記者、スポーツ中継ディレクターを経て現在はプロデューサー。04年アテネ、08年北京の五輪2大会を現地取材。2005~2007年はニューヨーク支局勤務、メジャーリーグ担当。
 
 
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