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インタビュー

指導者が選手と共に成長する、という姿勢で個性を育むレオーネ山口

公開:2012年9月11日 更新:2023年6月30日

キーワード:個性指導者育成

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個性を育むといっても、アプローチは多種多様。指導者が口うるさく言うだけでは、選手たちの個性は消えてしまいますし、反対に選手の好きなようにやらせているだけではうまくは行きません。
 
指導者の腕が問われる非常に難しい“個性を育む”という課題に指導者・選手一体になって取り組むのが山口県山口市のレオーネ山口です。幼稚園児から中学生までを対象に指導を行い、これまでにジュニア年代では山口県大会を2度制覇。ジュニアユース年代でも2008年に高円宮杯全日本ユース選手権で全国初出場ながら3位に入賞するなど輝かしい実績を残すだけでなく、ヤングなでしこの躍進に貢献したMF田中陽子選手や京都サンガFCのMF原川力選手を育てています。今回はレオーネの代表でジュニアユースの指導を行う住田優さんに“個性を育む”ための指導者としての心構えについて、お話を伺いました。
 
 

■選手たちが思ったことを口にしやすい環境作りが個性を生む

――クラブとして、“個性を育てる、自立した人間を育てる”というモットーを掲げられていますが、どういった取り組みをされているのでしょうか?
 
「僕が指導者になった当初は、トレーニングの中で、“さぁ、考えてみよう。やってみよう”という問いかけだけのトレーニングをやってきましたが、子どもたちが答えを見つけられないまま時間が過ぎてしまい、何も変わりませんでした。このままでいいのだろうか?と悩んだ際に、少し違ったやり方をしてみようと思ったんです。“このプレーにはこういうこともある。こういう所にボールを出せばこうなるよ。さぁ?どうする?考えてみよう”と子どもたちと話し合いながら、プレーをさせてみるというやり方です。それが正解かどうかは分かりませんが、選手皆が同じ絵を描けるようになってきているというのは良かったかなと。」
 
――一緒に話し合いながらチームを作る中で、心がけていることは?
 
「僕は選手と指導者、年齢の違いはあっても、同じ人間として、同じ目線でいよう、威圧的になりすぎないようしよう心がけています。良く選手たちに言っているのですが、僕の前ではビシっとしていても、いなくなるとダラっとしていてはダメです。見ているところでも見ていない所で自分の本音をさらけ出せる人間であれと。そういう事を言っていると、僕が遅刻したら、子どもたちが『大人としてケジメをつけないといけないんじゃない?』と言ってアイスをねだってくるんですよ。生意気でしょ?(笑) でも、そういうふざけたことを言いやすい雰囲気を作ることで選手たちが意見を言いやすくなり、個性に繋がっていくのかなと思います。
 
もちろん、なぁなぁだけではいけません。サッカーのうまい下手で怒ることはないですが、ちょっと人として筋の違うことをしたら注意はしています。サッカーを教えるというよりも人を育てる感じですね。僕自身、若い頃はヤンチャしてきて、“人の痛みが分かる”ということが大事ということを大人から教わりました。次は僕がそのことを伝えていきたいと思っています。」
 
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■教えるではなく、一緒に成長していこうという姿勢

――上から押さえた方が指導者としてやり易い部分もあると思うのですが?
 
「以前はそう思い、威圧的に上から目線で言っていたんですが、うちの他のスタッフから“上から言うだけでは、子どもたちがそれをしないと怒られると思うようになる。それをやっていたら、自分もしんどくなるよ”とアドバイスを貰いました。そこから、対等に見てあげることで子どもの良さを引き出してあげるためにはどうすれば良いかを考えました。話しやすい雰囲気、盛り上がる雰囲気って何なんだろうと?盛り上がってテンションも上がれば言葉も増えてくるということに気付いたんですよ。そういう雰囲気になると自分自身も楽しめるようになりましたね。これまではうまく行っていない時はガーっと言っていましたけど、最近はグッと我慢して、“今のはこうした方がいいんじゃない?もっと変態的なプレーがあるんじゃない?”とか柔らかい、笑える言葉を意識してかけるようにして。
 
選手たちもうまく行かない時って、煮詰まっているじゃないですか?それをちょっとほぐしてあげることが出来ればなと。指導者って長年やっていると、自分が選手だった時の気持ちって忘れるんですよ。自分が選手の時に、そういうこと言われていたら、怒ってたなぁとかもう一回、思い出すことで気持ちが変わっていきました」
 
――住田さんなりのスタイルというのは身についてきましたか?
 
「今のやり方が自分に合っていると思うけど、このやり方をやって、うまく行かなければちょっと変えるということも大事ですよね。今のチームとはフィーリングが合っているから、うまく行っているだけかもしれないし、同じノリで違う子どもたちとやったら、何やこいつ?となって、うまく行かないかもしれない。何かしら僕もチャレンジしていないと、選手たちにチャレンジしろ!とは言えないと思うし、僕自身、指導者として未熟なので、学び続けないといけない。一緒にサッカーで成長していこうという感じですね。選手たちに育ててもらっているなと思います。」
 
 
続き(レオーネ山口の練習方法)を読む>>
 
 
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住田優
1978年3月20日生まれ 岡山県出身
高校卒業後、社会人経験を経て、24歳で新潟県のサッカー専門学校JAPANサッカーカレッジに入学。卒業後在学中、新潟のクラブでコーチとして実績を積み、卒業後2005年からレオーネ山口で指導にあたる。2008年にチームがNPO法人へと以降してからは理事長としても活動を行う。日本サッカー協会公認C級コーチ、JFAスポーツマネージャー(GRADE3)
 
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取材・文・写真/森田 将義

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