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インタビュー

なでしこ安藤梢(デュイスブルク)の原点。絶対に負けない気持ちが私の武器

2012年1月 4日

キーワード:なでしこ

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2011年の流行語大賞にも選ばれた「なでしこジャパン」。その中心メンバーとして、FIFA女子ワールドカップ2011では全6試合に先発出場し優勝に貢献した安藤梢選手。女子サッカーが盛り上がりを見せる中で、彼女が子どもたちに伝えたいこと、そしてこれからサッカーを始める女の子たちへのエールをドイツで取材しました。厳しい環境の中で、どのようにサッカーに取り組み、自分を成長させていったのか、男女を問わず多くの子どもたちの参考にして欲しいです。
 
――安藤選手がサッカーを始めたのは何歳の頃ですか?
 
「昔からボールを蹴ることがとても好きで、父親によく『ボールを一緒に蹴って』とせがんでいたようです。3歳くらいの頃から始めて、幼稚園の年中の時にサッカークラブに入ったんですが、当時、私は『幼稚園に行きたくない』と泣いているような子どもでした。でも、『サッカーができるなら幼稚園に行く』というくらい、もうその頃からサッカーが大好きで。両親と一緒に園長先生のところにお願いに行き、男子しか入れないクラブに入れていただくことになりました」
 
――その頃の記憶はまだ残っていますか?
 
「園長先生のところにお願いに行ったことも、無事に許可していただいて、初めてユニフォームを手渡されたことも覚えていますよ。確か背番号が11で。すごく嬉しかったですね」
 
――男の子ばかりの環境の中に飛び込んでいくことに抵抗は感じませんでしたか?
 
「幼稚園くらいの年齢だったからということも関係しているかもしれませんが、不安や抵抗を感じるよりも、そのクラブでサッカーをさせてもらえることそのものが嬉しくて仕方なかった。だから、あまり性別のことは気にならなかったです。その頃は体格的にも男の子と女の子ってそんなに変わりはありませんし、むしろ私の方が周りの男の子よりも体が大きかったくらいですからね。けっこうゴールを決めたりして活躍していたんですよ」
 
――小学生の頃はどうだったんですか?
 
「幼稚園で入ったクラブに小学2年生まで在籍し、小学3年生からは通っていた小学校のクラブに入りました。その時も女の子がそのクラブに入るのは私が初めてのケースだったらしく、そこでもお願いをして許可をいただいてプレーすることになりました。休み時間もいつも男子とサッカーばかりしていましたね。よく試合で敵チームの選手のお母さんから『女の子に負けるな!』という声も聞かれましたが、逆にそれが私の中では『負けないぞ!』と発奮材料になっていたと思います」
 
――当時の安藤選手の夢は?
 
「卒業文集なんかには『日本代表選手になりたい!』とか『五輪、W杯に出たい』と書いていましたね。でも、まさか海外でプレーするところまでは想像できませんでしたけど(笑)。でも、『サッカーで一番になりたい』という気持ちはその頃から強かったですね」
 
――小学生の頃はどんな練習をしていたんですか?
 
「小学4年生の時にすでに所属していたクラブと、隣町にできた女子だけのチームを掛け持ち。女子のチームのほうには、週に1回とか、試合に参加していました。もともと所属していたクラブでは走りがメインの練習で、あまり細かい技術的な練習はなかったんですが、女子のクラブは個人技術を磨くチームだったんです。今、考えると、当時、かけ持ちして両方の練習ができたのは、体力をつけながら個人技術を身につけるという意味でよかったんじゃないかなと思います」
 
――その女子のクラブではしっかりとした基礎練習が組まれていたんですね。
 
「とにかくみっちり基礎練習を行ったという記憶があります。小5の時に、女子の日本代表選手だった方がコーチに就任したんですが、目の前にそのような存在の方がいたことは本当に大きかったです。教えていただくキックの種類も豊富で、もちろん技術も素晴らしく、ストレッチひとつにしても、自分たちがそれまで聞いたことのないようなものが多くて新鮮でした」
 
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――当時憧れていた存在はいました?
 
「やっぱりカズ(三浦知良)さんですね。私もよくカズダンスも真似したりしていました(笑)。女子では手塚貴子さん。いつか自分も手塚さんのように代表でプレーしたいと憧れていました」
 
――当時何か転機になるようなことはありましたか?
 
「所属していた女子のチームが全国大会で優勝したことがあったんですが、それはすごく自信になりました。また、大会が開催されたよみうりランドでのサッカー教室では、ベレーザの選手にサッカーを教えていただいたり、一緒にミニゲームを行ったりも。実際にそういう選手たちを目の前にして、あらためて夢が広がったというか、刺激にもなり、目標が明確になったような気がします。地元の栃木に試合に来た時はよく見に行ったりもしていましたね」
 
――一流選手のプレーを見ることで養われるものもありましたか?
 
「私もそうでしたが、やはり真似からはいることはすごく大切だと思います。たとえば今もバルセロナ(スペイン)の試合を見たり、香川(真司/ドルトムント)選手のプレーを見て真似をすることが多いんですが、頭の中で『こういうプレーをしたいな』とイメージをすることってすごく大事だと思うんですね。もちろん、全く同じプレーができるわけではないんですが、そういうイメージがあるだけで、試合で(イメージに)近いプレーができたりするんですよ」
 
――ご自身の経験を踏まえて、ジュニア世代の時に「これだけはやっておいたほうがいい」ということは何かありますか?
 
「やっぱり基本技術は小さい時に絶対に身につけておいたほうがいいと思います。トラップやファーストタッチはすごく大切なので。自分の好きなところ、自分が置きたいところにファースタッチで置けるように。あとは、自分の得意とするものをなにか1つ持って、それを伸ばすことも大事だと思います」
 
――安藤選手は自分のストロングポイントにいつ気が付きましたか?
 
「中学生の頃まではずっと男子選手の中でもプレーしていたんですが、高校に入ってからは女子選手だけのチームでプレーすることになりました。男子選手の中でプレーしていたこともあり、スピードやドリブルには自信があったし、絶対に負けないという気持ちは強かった。だから、それが自分の武器だとも思っていましたし、それを伸ばすために、男性のコーチを相手に1対1の突破の練習なんかは何度も繰り返し行っていましたね」
 
――ずっと男子選手の中でプレーしていただけに、高校生になって女子選手の中だけでプレーすることになった時には、多少物足りなさも感じたのでは?
 
「高校生に入ったばかりのときは確かに感じましたね。突然自分がものすごくうまくなったような気もしました。周りに高校からサッカーを始めた選手、初心者も多かったので、余計にそう感じたのかもしれません。そのような環境の中で自分が常に心がけていたのは、『うまくなるためにはどうしたらいいか』と考えること。当時は試合では自由にプレーすることができていましたし、自分が点を取らなければならないという状況だったので、いい意味で自分のストロングポイントを育てられた時期になったと思います。よく5人抜きなんかにもチャレンジしていましたね」
 
――今、『考える』というお話をされていましたが、子どもたちが自分で考える力を身につけるためには、どんなことを心がけたらいいと思いますか?
 
「今、私たちも試合の際に監督からいろいろ指示されることはありますが、ピッチの中に入ってしまえば、個の判断に委ねられる部分が大きいのが現実。だからこそ、指導者の存在も大きく関わってくると思いますが、大人がこうしなさい、ああしなさいと言うのではなく、子どもの自主性を尊重するのも大切なことだと思います。親御さんも、押しつけるような言い方ではなく、問いかけるようなアドバイスをしてみたり、褒めてみたり。また、実際にサッカーを行う子どもたちには、ベースにあるのは“サッカーを楽しむ”ことで、自分の考えに自信を持って、それを表現することを大切にしてほしいですね。今はレベルの高いサッカーを目にする機会も多いので、そういうものに触れて、イメージを持つことも大切なことかなと思います」
 
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安藤 梢//
あんどう・こずえ
FW・MF。1982年7月9日生。栃木県宇都宮市出身。ドイツ女子ブンデスリーガ・FCR2001デュイスブルク所属。2002年にさいたまレイナスFC(現:浦和レッドダイヤモンズ・レディース)に入団。その後、ドイツのFCR2001デュイスブルクへ移籍した。日本代表では、アテネ、北京と二度オリンピックに出場。FIFA女子ワールドカップにも2007、2011大会に出場し、優勝した2011年の第6回大会では全6試合に先発出場している。
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取材・文・写真/石井宏美

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