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肩甲骨はがしとコア強化で身体の連動性アップ! Jクラブのドクターが教える家でできるトレーニングのチェックポイント

公開:2020年8月 6日 更新:2020年8月 7日

キーワード:オンライントレーニングデメリット肩甲骨はがし連動性

前回の記事では、日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターも務める大塚一寛先生(上尾総合病院スポーツ医学センター長)に、オンライントレーニングは正しい姿勢で行わないとケガのリスクがあることや、ジュニア年代のフィジカルトレーニングについて、話をうかがいました。

今回は具体的な動き方とチェックポイントについて、アドバイスをいただきました。
(取材・文:鈴木智之)

 

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自重トレーニングで代表的なダイアゴナルの動き。このとき連動性を意識する筋肉は......

 

<<前編:オンライントレーニングに潜むケガリスク、Jクラブのドクターが指摘する「痛みを発症する原因」

 

■鏡やムービーも活用! 骨、関節が正しい位置にある状態で行うこと

オンラインも含め、トレーニングをする際に気をつけたいこと。それが「正しい姿勢で行うこと」です。大塚先生は「鏡を見て、先生やトレーナーがやっているものと同じ姿勢を作ることを意識しましょう」とアドバイスを送ります。

「映像を録って、動画で見るのも良いと思います。自分がやっているイメージとトレーナーがやっている動きのどこが違うのか。視覚で理解して、正しい動きに修正することが大切です」

とくにジュニア年代では、筋肉量も少なく、体を支えるのに苦労することがあります。身体のコア(中心)の筋肉を鍛えるトレーニングでおなじみの『プランク』や、片膝を地面に着き、片手を前方に伸ばしてバランスをとるポーズ『ダイアゴナル』をすると、腰が反ったり、重心が左右にぶれてバランスを崩してしまうことがあります。

「ピサの斜塔のように、どちらかに傾いたままポーズをとると、身体が間違った動きを覚えることになります。見よう見まねでやるのではなく、シンプルなものから複雑な動きへと、段階を踏んで正しいフォームでできるようにすると良いと思います」

自重トレーニングで代表的なのが、ダイアゴナルの動きです。片膝を地面に着き、片手を上げるポーズをしたことのある人も多いのではないでしょうか。

「ダイアゴナルの時は、まず四つ這いになり、足だけを上げます。その状態でキープができたら、次に手を前方へ上げます。この時に横隔膜(胸郭)を上げた状態で姿勢をキープします。お腹をへこませたまま呼吸をする『ドローイン』をして、横隔膜を上げた状態をキープして呼吸をすると、背中が曲がりません。このとき、体幹を安定させる胴回りの4つの筋肉(多裂筋、横隔膜、腹横筋、骨盤底筋群)の連動性を意識しましょう」

 

肩甲骨はがしで上半身の可動域を広げる

サッカーは足でするスポーツなので、どうしても下半身に意識が向きがちですが、連動性の面では、上半身も同じぐらい重要なもの。とくに胸郭と肩甲骨の動きは、スムーズかつしなやかな動きに欠かすことができません。

「メジャーリーガーの前田健太選手がする『マエケン体操』という、肩甲骨と胸郭、肋骨を回す体操がありますが、これは上半身の可動域を広くするための動作です。上半身を柔らかく動かすことができると、ケガをしにくくなります。反対に、上半身も下半身も、可動域が狭い選手はケガをしやすくなってしまいます

大塚先生は「最近の子はスマートフォンを見ている時間が長く、前かがみになり、猫背の状態で長時間いるので、走るときに胸郭の動きが悪く、肋骨が動いていない子もいます。それは、日常生活の姿勢が少なからず影響していると思います」と注意を呼びかけます。

そこで、おすすめなのが『肩甲骨はがし』です。頭の上で両手の甲を合わせ、頭の後ろを通して両手を引き下げていきます。同じように、両手を体の前に伸ばし、後ろに引き下げる運動も効果的です。肩甲骨が動いて、気持ちよく感じます。

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上半身の可動域を広げるのに効く肩甲骨はがし。頭上で手の甲を合わせ、両手を引き上げる時の姿勢

 

「肩甲骨はがしをするときは、鼻で息を吸って、口で息を細く、長く吐くと、胸郭と横隔膜が固定されます。その状態でスクワットをすると、インナーマッスルが常に使えて、骨盤をしっかり支えている状態を感じ取ることができると思います」

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肩甲骨はがしには、両手を体の前に伸ばし、後ろに引き下げる運動も効果的

 

スクワットをするときも、骨盤が後傾せず、正しい姿勢ですることを意識しましょう。

「家でトレーニングをするときは、保護者の方が、『猫背になっていないか』『腰が反っていないか』『重心が左右に偏っていないか』など、見てすぐわかるポイントだけでいいので、チェックしてあげると良いと思います」

 

■サッカー上達の1番のポイントはケガをしないこと

大塚先生の病院には、ケガをしてリハビリに来る子どもたちがたくさんいます。その子達に、こう言葉をかけるそうです。

「病院に来るよりも、グラウンドでサッカーしたいよね。少しのことでいいので、毎日体づくり、動きづくりのトレーニングをすると、ケガをせずにボールを蹴ることができるよ」

ケガなく、楽しくサッカーに取り組むためにも、日々のちょっとしたトレーニングの積み重ねが大切なのです。そして、日常生活では猫背にならないように、姿勢を意識すること。この2つを心がけて、楽しいサッカーライフを送りましょう!

 

<<前編:オンライントレーニングに潜むケガリスク、Jクラブのドクターが指摘する「痛みを発症する原因」 

 

Dr.otsuka_profile.JPG

大塚一寛(おおつか・かずひろ)
医師、上尾中央総合病院整形外科・スポーツ医学センター長。1999年からJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』や、『Jリーグチームドクター会議部部会長』を務める。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。

上尾中央総合病院・スポーツ医学センター

日本サッカー協会スポーツ医学医員

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取材・文:鈴木智之

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