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健康と食育

栄養素もチームワークが大切!?つよい身体をつくる食事のコツ

公開:2015年4月20日 更新:2020年3月24日

キーワード:フィジカル栄養食事食習慣食育

栄養学の専門家・田地陽一先生(東京家政大学)に食事と栄養をわかりやすく教えてもらう今回の企画。2回目は、前回学んだ栄養バランスを踏まえた上で、サッカーをプレーする子どもにフォーカスした食事と栄養の取り方、いますぐ役立つテクニックなどをお聞きします。
 
成長+疲労回復!サッカーキッズの食事でいちばん大事なこととは?
 

■たんぱく質を効果的に摂取

「バランス、バランスとしつこく言ってきましたが、それを実践した上で、サッカーをプレーしている子どもたちには筋肉のもとになるたんぱく質を意識して摂ってもらいたいです。」
とはいえ前回学んだように、栄養素は「それだけ」を摂ってもうまく吸収されず、低いものを基準にしか摂取できないものです。肉、魚、卵を含んだおかずをしっかり摂って、豆腐、納豆などの大豆製品や乳製品を意識的に食べる。たんぱく質を効果的に生かすためには、牛乳に含まれるカルシウムが必要不可欠、カルシウムは成長に関わる骨の発育にとても重要な役割をするなど、栄養素はそれぞれが絡み合って、お互いに関わり合いながら「体になっていく」ものなのです。
「パンを食べるのが精一杯だった朝ごはんに、卵やベーコンのたんぱく質を加えてみてください。コップ1杯でいいので、豆乳や牛乳を飲むようにしてみてください。こうすることで、バランスが整いたんぱく質摂取の効率も上がるのです」
 
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栄養素はそれぞれが絡みあって効果を発揮する
 

■不足しがちな鉄分も要チェック

栄養のバランスを見ていくだけで、体に吸収された後の効率が上がる例を見ると、バランスの大切さが実感としてわかってきますよね。続いて紹介するのが日本人全体に不足していると言われる鉄分の摂取方法です。「欧米人は肉から鉄分を取っているんです。食の欧米化といっても、日本人の食文化が欧米と同じになったわけではないので、まだ鉄分が不足しています。鉄分はレバー、あさり、いわし、肉や赤身の魚で摂れますが、子どもの嗜好と合わせて取りづらい栄養素のひとつであることは間違いないでしょう」
サッカーをプレーする子どもたちにとっても鉄分は重要だそうです。酸素を身体中に運ぶヘモグロビンのもととなる鉄は、有酸素運動に必要不可欠。特に初潮を迎えた女子アスリートの鉄分不足は深刻ですが、男の子にも、成人男性にも不足しているのが現状なのだそうです。「鉄分を意識した食材を摂るのは大切ですが、量的に難しければサプリメントで補うという方法もあります」
子どもにサプリメントを与えることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、鉄分のように不足しがちな栄養素では、バランスを整えるために補助的に利用することに問題はないと言います。「ただし、鉄分は過剰摂取で体にダメージを与えることが知られているので、パッケージに表示されている1日当たりの摂取目安量を守りましょう。もちろん一気にたくさん飲まなければ問題ありません」レバー、いわしを食べられるようになることも大切ですが、鉄分はアスリートには重要な栄養素。サプリで補うやり方もあると思うと気持ちが楽ですよね。
田地先生からもうひとつ注意点。「鉄分を摂る食事の際は飲み物に注意! コーヒー、紅茶、ウーロン茶は鉄の吸収を阻害するのでダメです。麦茶、そば茶、ミネラルウォーターにしましょう」
 

■試合前に重要な糖質

「明日は大切な試合!」そんな時のスペシャルメニューはゲン担ぎの「カツ丼」や子どもの大好物「ハンバーグ」というご家庭も多いでしょう。栄養学的な勝負飯は試合前日と当日「糖質(炭水化物)を多く摂る」ことです。「糖質はエネルギーの源となり、スタミナアップに貢献します。同時にビタミンB1を多く含む食品を食べると糖質がエネルギーに効率よく変わります。豚肉、玄米、ねぎなどのビタミンB1を多く含む食材を合わせて取りましょう。さらににんにくを一緒に摂るとさらに吸収率が高まります」
ご飯の糖質に豚肉のビタミンB1、ニンニクとネギ。これはスタミナ付きそうですよね。よく言われるスタミナ飯は実は理にかなっていたようです。「プロサッカー選手などのアスリートも試合前に糖質中心の食事に切り替えるグリコーゲンローディング、カーボローディングと呼ばれる食事法で成果を出しています。筋肉に糖質を行き渡らせ、エネルギーのスタンバイをするのが目的です」試合前にはこれらを意識してメニューを考えるといいでしょう。

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■考えるサッカーに必要なEPA、DHA

サッカーは体だけでなく、頭も使うスポーツです。考えるサッカーを実践するためには青魚に豊富に含まれる「EPA、DHA」が必要です。
「頭が良くなる栄養素としておなじみですが、EPA、DHAは魚の油に多く含まれます。特に北方の寒い地域の魚に豊富なのですが、これは寒い海中でも油がサラサラ流れるために進化した結果と言われています」
血液をサラサラにして、脳への血流を促すEPA、DHAの効果は学習効率の実験などでも証明済みだと言います。魚離れが言われていますが、魚を食べると頭が良くなる!はあながち間違いではないようなので、意識して魚を食べるようにしましょう。こちらのEPA、DHAもサプリメントで補完するやりかたもOKだそうです。
 

■ケガの予防にビタミンC

果物や野菜に多く含まれるビタミンCは、毎日の練習で疲れているというサッカーキッズにぜひ摂取して欲しい栄養素です。「練習後にスポーツドリンクもいいのですが、オレンジジュースもオススメです」運動で傷ついた筋繊維の修復を促すビタミンCを含むオレンジジュースは疲労回復に最適です。これを習慣化することでケガの防止にもなると言います。
「お母さんたちが興味をお持ちの美容成分としておなじみコラーゲンの合成を促進してくれるのがビタミンCです。コラーゲンは人間の体を構成するたんぱく質の3分の1近くを占めています。たとえばアキレス腱はコラーゲンの塊といってもいいものですが、ビタミンCを多く摂ることでコラーゲンが合成されて、丈夫な皮膚や腱の材料になるわけです」オレンジジュースでケガに強い腱を作り、筋肉の回復、ケガの予防ができる。これも覚えておきたいことです。
 
「後半はいくつかの具体例を紹介しまいしたが、ごはん、パン、麺などの「主食」、肉、魚介、卵、大豆食品などの「主菜」、野菜、海草などの「副菜」、「牛乳・乳製品」、「果物」。これら5つの分類のすべてを大事にした食事が理想の食事です。なかなか理想的な食事は難しいのですがこれらを意識しないで、何かひとつだけを取り入れても“桶から水がこぼれてしまう”のが食事と栄養の難しいところです。少量でも、1日3食かけてでもいいので5つを揃えてできるだけバランスを整えてください」
 
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「食べることも練習」と食事と栄養に意識を向けた取り組みをする強豪チームも増えています。後半の息切れ、ケガで肝心な試合に出場できない。ベストパフォーマンスを発揮できないのは何より子どもにとってマイナスです。手間と時間、メニューを考えるとなると少し頭を悩ませることになりますが、今回の記事を参考に子どもたちにとって最大の援護射撃になりうる毎日の食事と栄養を意識してみてはいかがでしょう。
 
 
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田地陽一(たち・よういち) 先生
東京家政大学栄養生理学研究室准教授。筑波大学大学院博士課程医学研究科修了。医学博士。日本栄養・食糧学会参与。専門は栄養学、スポーツ栄養学、運動生理学、分子生物学。東京武道館健康体力相談室でスポーツ相談員を経験。著書に『栄養科学イラストレイテッド基礎栄養学』(羊土社)、『動く、食べる、休むScience』(アイ・ケイコーポレーション)、『臨床栄養管理ポケット辞典』(建帛社)などがある。

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取材・文/大塚一樹

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