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メディカルスタッフ・フィジカルコーチ・U17日本代表監督に聞く、サッカー育成年代へのアプローチ

2013年4月 4日

キーワード:指導者育成

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「現場に役立つスポーツ医学研究会 サッカー編」の模様をお伝えしています。今回は“育成年代への医療的アプローチ”、小学生年代では、普段なかなか聞くことができないメディカルスタッフの話。医療的アプローチをしながらも、サッカーの現場で選手に関わられている講師が登場します。
 
さらに育成年代の日本代表、Uー17、U-15日本代表を率いる吉武博文監督も、代表合宿を打ち上げたその足で会場に駆けつけました。さて、どんなお話が聞けるのでしょう?
 
 
<<サッカー育成年代へのサポート体制は、まだまだ整っていない?食とメディカルの観点で考える
 
 

■最新育成事情 痛みに対するアプローチ

 午後からも充実の講演が目白押しです。90年代から日本代表の帯同ドクターを努め、U−17,U−20などの育成年代日本代表、JFAアカデミー福島をメディカルスタッフとしてサポートする加藤晴康医師がスピーカーとして登壇しました。ここからは、なかなか聞けない育成現場でのメディカルのお話。
 
 JFAアカデミー福島でのオスグッド病の取り組みなどから、医療とサッカーの現場の実際が見えてきます。
 
 オスグッド病は「医学的には問題のない症状。痛みはあるが、その後深刻な機能障害が発生するわけではない疾患」なのだそうです。医師の立場からも「痛みはあってもプレーは可」というのが日本の整形外科医のオスグッド病に対する考え方だったのですが、元フランス国立サッカーアカデミー校長のクロード・デュソーさんがJFAアカデミー福島にやってきてからこれが一変します。「痛みが出たらプレーができていても休ませる」
 
 これがデュソーさんの持ち込んだ新しい常識でした。
 
育成年代では,基本的技術を身につけることが大事であり、育成年代を過ぎてしまうと、しっかりした基本的技術を身に着けることはとても困難であるそうです。身体に痛みがあり、そこをかばって練習を行っていても、しっかりした基本的技術が身につきません.そのため,痛みがでたらプレーができていても練習を休止して、しっかり治療して痛みのない状態でサッカーの練習に復帰させることが大事なのだそうです。
 
 ケガのケアをするサポートからケガをしない選手を育成する、痛みが出ないようなケアをする。指導者とメディカルスタッフの一致団結が、伸び盛りの選手たちの成長を妨げない、合理的なトレーニングの構築に一役買っているようです。
 
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●医師  加藤晴康氏
1995年からトレセンや育成年代の日本代表の帯同ドクターを務め、アテネや北京オリンピックなどの若手のサッカー日本代表を中心に帯同ドクターとして活動している。
 
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■成長段階に合わせたパフォーマンスアップ

 08年から女子日本代表のフィジカルコーチを務める広瀬統一さんは、ヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)名古屋グランパス、京都サンガなど複数のJチームでジュニアからユース世代のフィジカルコーチを務めた豊富な経験をもとに、育成年代の子どもたちの成長曲線に合わせた、パフォーマンスアップのためのトレーニングの重要性について講演。
 
 広瀬さんによれば、「身につけたい動作によって、刺激を入れるタイミングがある」のだと言います。たとえば、神経系の能力が伸びる時期には細かいテクニックを、「発育スパート」と呼ばれる12歳から13歳の時期は持久系の能力が伸びるなど、各器官の成長時期に応じてトレーニングプログラムを組むことで効果的な成長が望めるというアプローチです。
 
裏を返せば「成長時期ではない期間に闇雲に量を重ねても、結果にはつながらない」ということ。成長に合わせたトレーニングをしっかりとスケジュールを組んで行う「ピリオダイゼーション」(期分け)という概念も育成年代のトレーニングには必要。広瀬さんは現場での膨大な知見から研究、分析を進め、科学的なトレーニング方法を実践されています。
 
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●フィジカルコーチ  広瀬統一氏 
早稲田大学スポーツ科学学術院准教授。サッカー女子日本代表フィジカルコーチ、ジェフユナイテッド市原・千葉ユースアカデミーコンディショニングアドヴァイザー、JOCナショナルコーチ強化スタッフも務めている。
 
 

■人間性、感性で世界と戦う

 最後に登壇したのは2011年U−17W杯でベスト8に輝いた「94年生まれのすべての選手の日本代表」という意味の“94JAPAN”の生みの親、吉武博文監督。世界大会での経験、選手たちに人間的な自立を求める指導法などをユーモアを交えながら語ります。
 
「スペインに行った時に『選手たちは教えてもできないことが多いですよね』と相談したら、すぐに『教えて出来ないことはたくさんありますよ。でも教えなくていいことはひとつもありません』という答えが返ってきました。これはショックでした」
 
『手段が目的になってしまう日本社会』というスライドの中で吉武監督が披露したエピソード。大切なのは「できるようにすること」だと改めて気付かされたそうです。
 
体力、戦術、精神力の上に技術をそっと乗せる。これが吉武監督の育成コンセプト。
 
「最後にモノを言うのは人間性、感性だ」
 
世界大会を経験して吉武監督はさらにその想い強くしたそうです。
 
 吉武監督は引き続きU-17日本代表監督としてチームを率い、2013年に行われるW杯に挑みます。さらに、2015年のU-17W杯出場を目指すU-15日本代表監督も兼任。「94・95・96・97・98・99で世界を獲る」と、若き日本代表選手の育成現場を熱く指導されています。
 
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●監督  吉武博文氏
2011年U-17ワールドカップ日本代表監督として、本大会では18年ぶりにベスト8進出を果たし、フェアプレー賞も受賞。2013年U-17ワールドカップを目指す監督に就任し、本大会の出場権を既に獲得している。
 
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 セミナーの最後は登壇者全員に対する質問コーナー。医療従事者に限らず、サッカーコーチの方からも現場目線の質問が飛び交う有意義な時間となりました。
 
 駆け足でご紹介しましたが、ここで触れたのはほんのごく一部。どれだけ内容充実のセミナーだったかわかっていただけでしょう。国際スポーツ医科学研究所では、今後も現場に役立つセミナーやイベント、現場とトレーナー、医療従事者をリンクさせる試みを行なっていくそうです。
 
たくさんの要素が集結して、日本サッカーの育成年代がより豊かになる。そんな夢を多くの人と共有できた一日でした。
 
 
<<セミナープログラム>>
『サッカー選手と食事の大事な関係~育成年代だからこそ伝えたいこと~』久保田尚子 FC東京
『サポートシステムの普及』金成仙太郎 国際スポーツ医科学研究所ランチョンセミナー
『育成年代、女性選手の障害予防を考えたシューズ開発』井上太郎 アシックスジャパン株式会社
『成長期のスポーツ障害に対するアプローチ』加藤晴康 立教大学
『成長段階に合わせたパフォーマンスアップメソッド』広瀬統一 早稲田大学
『自立に向けて』吉武博文 日本サッカー協会
 
<<パネルディスカッション>>
『育成年代へのアプローチ』 演者全員
 
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取材・文/大塚一樹 写真/国際スポーツ医科学研究所・サカイク編集部

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