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運動能力

少年サッカーに活かすトレーニング 96ジャパンを支えた身体作り

2014年1月 7日

キーワード:コンディショニングトレーニング

昨年、UAEで行われた17歳以下の世界一を決める大会、U-17W杯で旋風を巻き起こした96ジャパン。全員がほぼ均等に試合に出場するローテーション制や、圧倒的なボール支配率で相手を圧倒するサッカーを実現していたのが、選手たちの体力面、コンディショニングでした。
 
試合中
 
そこで今回は、U-17日本代表に帯同した並木磨去光トレーナーに96ジャパンの激闘を支えたコンディショニングの秘密をお聞きして、お正月休みで身体がなまっているかもしれないサカイク読者にも参考になる、身体をほぐすストレッチ、トレーニングを教えてもらいました。
 

■96ジャパンを支えた身体の負担を軽減する動き

96ジャパンはテクニックと正確なパスでボールを保持しながら相手を崩すサッカーを貫きました。なかでも驚かされたのが、後半になっても選手たちのプレースピードが落ちず、足が止まらないこと。逆転で勝利したチュニジア戦、残念ながら敗れてしまったスウェーデン戦も後半は完全に日本のペース。動きの止まった相手に対して優位に試合を進めていました。
 
「一番は正しい姿勢で余計なところに余計な負担をかけずにプレーしていたことが挙げられます」
 
 96ジャパンでは、身体作りの基本となる食事の量、エネルギーや水分補給のタイミング、30℃を超える暑さ対策など、さまざまな対策を講じて大会に臨みました。並木トレーナーはそのなかでもチーム結成時から地道に取り組んできた、体幹を鍛えるトレーニングが、選手たちに大きな変化をもたらしたと言います。
 
powerposition1_300.jpg
 

■パワーポジションを身につけよう

写真は「パワーポジション」と言われる姿勢です。サッカーの動きでは、瞬間的に前後左右に動けることが求められます。このパワーポジションは、次のプレーに移行する際に最もスムーズに動ける姿勢です。
 
「まずはまっすぐ立つこと。まっすぐ立つのが正しい姿勢なのですが、本人はまっすぐ立っているつもりでも、骨盤が前に出すぎていたり、腰が沿っていたりする場合が多いのです。お父さんお母さんが横から姿勢をチェックしてあげて、本当にまっすぐ立てているか見てあげるのもいいでしょう。次に、サッカーの動きをスムーズに行うため、自分のパワーを最大限に発揮するためにとる姿勢が“パワーポジション”です。お尻や下腹部を意識して立つことで、股関節や腸腰筋がうまく使えるようになります」
 
 腸腰筋とは股関節を屈曲させる働きをする筋肉のこと。パワーポジションを身につけると、体幹から力が生み出せるようになります。身体の各部分が連動してより大きな力を生むことができると同時に、関節や可動部、ふくらはぎなど特定の部分に負担がかからなくなり、けがや痙攣を防ぐことにつながります。
 
「まずはケガの予防。それがパフォーマンスアップにつながります」
 
 並木トレーナーは、基本となる姿勢とパワーポジションの大切さを強調します。
 
「96ジャパンでも合宿のたびに言っていたのですが『普段からやっていないとできないよ』ということです。チームによって狙いやトレーニング方法は違うかもしれませんが、家でも姿勢を作るためのトレーニング、正しい形を具体的にイメージして動いてみることはできるはずです。真剣に取り組めば結果は必ず変わってきます」
 
 

■きつさより正しい姿勢が大切

 U-17日本代表選手たちが声を揃えて「きつかった」というのが、タッピングというトレーニングです。並木さんが選手たちにもらったメッセージ入りのユニフォームには「タッピング、マジきつかった」というメッセージが複数ありました。
 
 タッピングはパワーポジションをとったまま、その場で素早く足踏みをするトレーニングです。サッカーでは「ヨーイ!」で構えて「ドン」でスタートする動きはありません。ボールを持ってドリブルを仕掛ける、マークをずらしてボールをもらう、どんなシチュエーションでも、予備動作なく、あらゆる方向に動けることが求められます。タッピングでは、動きながらでもパワーポジションをキープし、さまざまなプレーに対応できる感覚を身につけることが求められます。
 
「どんなトレーニングでもそうですが、数や秒数をこなすために正しい姿勢を崩してやったのではトレーニング効果がないのです」
どんなシチュエーションでも最大の力を発揮できる正しい姿勢、パワーポジションをキープし続けるようにすることがタッピングの狙いです。
 
フロントブリッジ横向き
 

■必要な動きを自分で考えて身につける

 写真は体幹を鍛える代表的なトレーニングのひとつ、フロントブリッジです。このトレーニングも意識ひとつで効果が変わってくるトレーニングだと言います。
 
「腕を地面につけて行うので、地面に対して耐えるトレーニングだと思っている人が多いのですが、これは立った姿をイメージして行ってください。正しい姿勢でできていれば、肩甲骨がグッと中に入り、胸を柔らかく使えるようになります」
 
 背中が丸まっている選手が、胸が硬くて肩甲骨が開いているそうです。こうした姿勢だと、膝が前に出て、関節に余計な力がかかり、疲れやすくいつケガをしてもおかしくないのだそうです。
 
「96ジャパンでは、基本的なトレーニングやストレッチは練習前にホテルで各自が行うことになっていました。ずっと言ってきたのが、自分のことは自分でやるということです。こうした意識のない選手にいくらこちらから働きかけて“やらせて”もやはり効果や結果には結びつかないのです」
 
 96ジャパンはレギュラーを固定化しない「全員サッカー」を掲げるチームでもありました。選手全員が各自、高いモチベーションとベストコンディションを保つことが求められました。トレーナーやスタッフのサポートはもちろん大切ですが、並木トレーナーは「一度教えたら後は自分で考えてやること」で選手たちがそのトレーニングを自分のものにしていくのだと言います。
 
 選手たちがトレーニングの意味や必要性を実感して、自ら取り組んだからこそ、96ジャパンの、あの質の高いサッカーが実現したのです。
 
次回は子どもたちに多い、肩や腰、胸の問題を改善するトレーニングをご紹介します。
 
 
サッカーに活かす正しい姿勢づくりを96ジャパントレーナーが伝授>>
 
 
並木トレーナー写真
並木磨去光//なみき・まさみつ
日本代表アスレチックトレーナー。スポーツマッサージ・ナズー代表。トレーナーとしてW杯、五輪日本代表をサポート。ケガ人の治療、マッサージによる疲労の回復、コンディショニング、リハビリテーションなどを担当。2013年に行われたU-17W杯でもトレーナーとしてチームに帯同し、U-17日本代表の決勝トーナメント進出に貢献した。
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取材・文/大塚一樹 写真/サカイク編集部 写真協力/スポーツマッサージ・ナズー

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