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サッカーばかりやらせても、うまくなるとはかぎらない!強豪サッカーチームが夏休みにチーム活動をしない理由とは

公開:2016年8月 1日 更新:2023年6月30日

キーワード:夏休み小島洋邦関前FC

夏休みなのに、子どもは変わらずにサッカー漬けの毎日。家族旅行をしたり、家族で一緒に里帰りしたりする時間もない。いざ子どものサッカーを休ませようと思っても、チームのコーチや親同士の目線も気になって、なかなか思い切ることができない……。
 
そんな悩みを持っている人は少なくないのではないでしょうか。
 
「うちは夏休みの間、できる限りチームの活動をしません。ほかのコーチや親が練習をしてほしいと言っても一切やりません」
 
そんなスタンスでこの夏休みを迎えた町クラブがあるのでご紹介します。(取材・文 杜乃伍真)
 
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※この写真はイメージです。取材した関前FCとは一切関係ありません。(サカイクキャンプにて撮影)
 

■強豪チームが、夏休みにチーム活動をしない理由

東京都武蔵野市にある関前サッカークラブ(以下、関前SC)です。チームを率いる小島洋邦監督は関前SCを率いて25年あまり。これまで、なでしこジャパンの岩渕真奈選手(バイエルン・ミュンヘン)が小学生時代に所属しており指導にあたるなど、長年ジュニアサッカーに携わり、子どもたちの成長に寄り添ってきました。
 
小島監督は夏休みなどの長い休みこそ、チームの活動をしないようにしているそうです。
 
「夏休みのような長期の休みこそ、子どもには何でもいいから自由に好きなことをやらせるんです。野球でも、バスケットボールでも、一生懸命勉強に打ち込んでもいい。家族と旅行に行ってのんびりしてもいいし、スポーツから離れてしまってもいいでしょう。いざ、チームの活動から離れて自由な状況に身を置くと、子どもは自分で考えて行動せざるを得ません。親も夏休みの間、子どもとどう接して過ごすべきかをしっかり考えるようになります。いまの少年サッカーの現場に蔓延しているのは、コーチたちが子どもに何でも教えてあげてしまうので、子どもが何も考えずに済んでしまうことです。また、親も子どもをチームに預けることで、親子の時間をしっかり考えることが疎かになっているように感じます」
 
それが小島監督が長年、少年サッカーの現場で感じてきた危機感でした。さらに、長年子どもと寄り添ってきたなかで、現代の子どもの悪い意味での変化についてこう指摘します。
 
「ここ10年ほどでしょうか。サッカーの現場で、野球でいうフライのボールをキャッチできないような子どもが本当に増えているんです。ジャンプをしてもおよそ届かないボールに対して、後ろに下がって落下地点に入ってからヘディングしようとせずに、その場でジャンプしてしまい、後逸してからボールを追いかけるような子どもが増えているのです。ぼくらがまだ子どものころはそんなことはありませんでしたが、それが現実です。この状態を放置していれば、日本のサッカー、いや、スポーツ界は衰退すると思います。野球のフライがまったく捕れないような子どもが、サッカーで大成できると思いますか? 子どものうちに、卓球でも、テニスでも、何でもいいんです。いろいろな競技を経験させて、いろいろな感性を磨かないといけないんです」
 

■子どもにサッカーばかりをやらせていても、サッカーはうまくならない

現代の子どもたちは、空間認知の能力が著しく低下しているのかもしれません。幼少期の頃に、外で遊び回って五感をフル活用するような機会が減ってしまっている、など考えられる原因は様々あるでしょう。
 
子どもにサッカーばかりをやらせていても、サッカーはうまくならない――。
 
それが小島監督が長年サッカー少年・少女に寄り添ってきてたどり着いた、子どもをうまく育てるための秘訣です。だからこそ、夏休みのような長期の休みにこそ、チームが率先して子どもに様々な体験をさせてあげることが大事だと考えているのです。
 
ただし、と小島監督がこう続けます。
 
「夏休みの間の40日間、まったくチームの活動をせずに子どもを野放しにしたとき、そこで一切ボールを触らないような子どもは、きっと他の子どもに置いていかれると思います。本当にサッカーが好きな子どもであれば、友人を誘ってでも勝手に公園でサッカーに興じているはずです。私が知っている日本代表まで上り詰めた選手たち、たとえば、なでしこジャパンで活躍してきた澤穂希さんや、関前SC出身の岩渕真奈などは、四六時中サッカーをしていたし、寝るときもサッカーボールと一緒という子どもでした。サッカーが大好きで、公園などで友だちと朝から晩までサッカーに夢中になっているような子どものほうが、コーチにあれこれ指示をされる子どもよりもよほどサッカーがうまくなる。逆にいえば、いくらサッカーがうまくても、夏休みは自由にしていいよ、と野放しにしたときにサッカーに興じないような子どもならば、それはサッカーがそれほど好きではないということ。私の経験上、彼・彼女が高校や大学に行ってまでサッカーを継続するとは思えません。だったら、小さい頃に色々な種目を経験させて、あらゆる感性を磨かせて、子どもが目を輝かせて没頭できる種目、あるいは勉強などに力を発揮してくれた方がよほどいいと私は思います。そのなかでサッカーを続けてくれるならば、子どもがさまざまな体験から磨いた感性をサッカーに生かしてくれたほうが絶対にいいと思うのです」
 
 
次ページ:今年の夏休みでうまくなることが、達成すべき目的ではない
 

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取材・文 杜乃伍真

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