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親子でチャレンジ

初めて対峙する相手をどう対処する?――天皇杯の見所を元日本代表の柳本啓成さんから学ぶ

2012年12月17日

キーワード:判断力天皇杯

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プロ、アマ問わず日本一を争い、冬の風物詩ともいえる「天皇杯全日本サッカー選手権大会」。15日にはベスト16が行われ、セレッソ大阪、ガンバ大阪、ジェフユナイテッド千葉、鹿島アントラーズ、名古屋グランパス、横浜F・マリノス、大宮アルディージャ、柏レイソルが勝利。23日に行われるベスト8進出を決めました。ここから元日の決勝まで一気に盛り上がっていく天皇杯の見所とともにジュニア年代に見て欲しいポイントをサンフレッチェ広島などで活躍した元日本代表DFの柳本啓成さんにお聞きしました。これまでは“トーナメントに挑む心”、 “ジュニア年代に見て欲しい個の技術”についてお聞きしましたが、今回は試合の中から学ぶ対戦相手との対処法です。
 
<<ジュニア年代に見てほしい個の技術
 
 

■強い相手にどう対応するのか?選手同士の駆け引きに注目

選手全員に個性、特徴があるように、それぞれ苦手な部分というのがあります。柳本さんも現役時代、速さに自信があったため、エメルソン(元・浦和レッズ)など速さのあるFWは得意としていた一方、小柄だったため高さがあったり、身体の強い選手は苦手だったと言います。
 
「ワシントン(元・浦和レッズ)など大きい選手の場合はハイボールを入れられたら勝てませんでした。そういった選手には守備のテクニックで身体を当てたりするんですけど、彼の場合はビクともしなかったですね。向こうは189cmもあって、がっちりしているから競り合っても、174cmの僕が普通にジャンプしても勝てない。外国人って身体が本当に強いんです。そういった場合にどうすれば良いのか?そういう個のぶつかり合いはサッカーの醍醐味の一つですよね」と話します。
 
では、柳本さんはワシントンをどう対処したのでしょうか?
 
「勝つんじゃなくて、飛んだ瞬間に身体をぶつけて、バランスを崩させる。そういう駆け引きはワシントンだけじゃなく、常にしていましたね。普段、試合をしている相手とやると相手の特徴も分かっているんで、やりやすいんですが、天皇杯など普段対戦しない相手の場合はビデオだけで分からない、試合にならないと分からない特徴も多い。試合の中でどう対応していくかを考えないといけない」と、この大会ならではの難しさがあるそうです。
 
試合を見る際に自分のポジションをイメージし、対峙する選手の特徴を観察し、自分ならどう対処するのか?という事をイメージしておくと、後の試合の参考にもなるでしょう。
 
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■判断力とともに伸ばすべき力とは?

対峙する選手を観察し、どう対応するか?こういった要素は成長差が大きいジュニア年代でも重要な意味を持っています。柳本さんはこう話します。
 
「足の速い選手と対峙すれば、“もう少しスペースを消しておこう”とか、ボールが相手に入る前に潰そうとか。そう考えることが出来るように練習から持っていかないといけないんです」。
 
ただ、単に考えさせながら、トレーニングさせるといっても非常に難しいことです。ほったらかしにするのか、良い所だけを褒めてあげるのか。柳本さんの場合は前回も紹介しましたが、“今、何をすべきなのか?”を教えてあげることで、判断力とともに考えさせる力を養っています。判断力を身につけるとともに必要なのは長所を伸ばすということ。対峙する選手に勝つための武器も必要となっていきます。
 
柳本さんは「それは人それぞれ性格があって、良く聞く子は伸びていきます。良く聞かない子には常に言い聞かせるしかない。かといって、聞かなくても特徴がある子も多いし、難しいし、面白い。左向け左とか右向け右という子だけではダメなんですよね。そういう選手もいるけど、自分でどんどん吸収していく選手もいる。怒って伸びる選手もいれば、ケツを叩かないとダメな選手、ほっといても伸びる選手もいる。そういう特徴を知るためには選手を常に見ていないといけないですよね」と話します。
 
YF NARATESOROの1期生が今年、高校に入学しました。中には早くも高校サッカー選手権に出場する選手もいます。そのうちの一人はこれまで小中と1度もトレセンに選ばれたことがありませんでしたが、「小学生の頃から光る物はあった」と柳本さんがしっかり彼の長所を知り、伸ばしていきました。
 
その一方、ジュニア年代で光る物を持っていても年齢が上がるに連れて個性が消えて、活躍が出来なくなる選手が多いのも事実です。柳本さんは「例えば、身長が高くて足も速い選手に『その能力で行け』と言っていても、周りが成長していくと通用しなくなるケースが多いですね。成長が追いつかれた時に何が出来るかが大事だと思うので、僕はそこを意識してトレーニングをしています。足が遅い子でも判断が良かったらそこを褒めてあげたいと思います」と話します。
 
最初はセレッソ大阪やガンバ大阪などJリーグのアカデミーと試合をしても、大差で負けていましたが、個の特徴を伸ばした結果、チーム力が向上。去年、Jリーグのアカデミーに勝利し、初の全国大会(高円宮杯)に出場しました。
 
選手の良さを伸ばすためには、まず周囲の大人が選手の良さを理解できるかが重要となります。
その選手を見る目を養うためには、指導者がサッカーを見ることも一つの要素です。親子で一緒に考えながら、サッカー観戦から、何か考え、議論することが子どもたちの成長のスピードを上げるためにも大事なのです。
 

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柳本啓成//
やなぎもと・ひろしげ
1972年10月・大阪府出身。1991年、奈良育英高校からサンフレッチェ広島の前身であるマツダSCに入団。翌年1992年、サンフレッチェ広島設立とともにプロ契約。創設期の広島では若手選手No.1の人気を博し、全国的にアイドル的な存在だった。Jリーグ開幕時から右サイドバックのレギュラーとして定着した。1995年、日本代表に初選出され1997年までの3年間で30試合の国際Aマッチ出場を果たす。その後1999年にガンバ大阪、2003年にはセレッソ大阪に移籍し、2006年に引退した。2008年4月、株式会社DF3を設立し、奈良県でフットサル施設「YANAGI FIELD」を開業。奈良からJリーグをめざす奈良クラブのオフィシャルパートナーを務める。 現在、ジュニアチームYF奈良テソロをGMとして率いている。
 
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取材・文・写真/森田将義

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