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親子でチャレンジ

ジュニア年代に見てほしい個の技術――天皇杯の見所を元日本代表の柳本啓成さんから学ぶ

2012年12月11日

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プロ、アマ問わず日本一を争い、冬の風物詩ともいえる「天皇杯全日本サッカー選手権大会」の見所を、前回に引き続きサンフレッチェ広島などで活躍した元日本代表DFの柳本啓成さんにお聞きしましています。柳本さんは引退後の2008年4月に奈良市でフットサル施設「YANAGI FIELD」を開業。サッカースクールの運営とともに、「YF NARATESORO」の代表として、ジュニア年代、ジュニアユース年代の指導を行っています。前回は“トーナメントに挑む心”ついてお聞きしましたが、今回は“ジュニア年代に見て欲しい個の技術”についてです。今週末15日に行われる4回戦(ベスト16)の観戦の参考にしてみてはいかがでしょうか?
 
 
<<トーナメントに挑む心とは?
 
 

■選手が得意なプレーの前にどうしているかを注目してみる

柳本さんは「うちに入って来る際に親御さんに『ドリブルのチームですか?パスのチームですか?蹴るチームですか?』と質問されます。どれも大事だけど、一番大事なことはそれをどこでどう使うかという“判断”なんです」と指導の中で最重要視するポイントについて“判断力”を挙げます。理由はサッカーの高速化。「今のサッカーはのんびりしている時間があると、相手に潰されてしまうから、蹴らないといけないのか、スペースがあるからドリブルをしないといけないのか、囲まれているからパスで逆サイドに逃げるのかっていうことを判断しないといけない」と説明します。
 
試合展開が年々速くなり、相手との駆け引きが複雑化しているからこそ、より判断力が重要となってくるのです。ただ、判断力を身につけると言っても、難しい事でもあります。そのためにも、天皇杯などサッカーを観ることが重要になってきます。
 
柳本さんはこう話します。
 
「特にプロになると簡単にする所は凄く簡単にするんです。勝負する所はガッと勝負をする。そういったタイミングを見て欲しい」
 
「ドリブルの得意な選手、ガンバ大阪の遠藤保仁選手みたいに素晴らしいスルーパスを持った選手とそれぞれ特徴のある選手がいます。その選手たちがどういう時にどういうボール裁きや判断をしているか。例えば、密集している所で、ドリブルを仕掛けるかというとしていない。そういう所は凄く勉強になるし、単にシュートが凄かっただけでなく、シュートまで持っていく所などそういう判断の部分を見てもらえると参考になると思います。真ん中で囲まれた時に遠藤選手がどうしていたとかを見て欲しいですね」
 
前回のように試合の展開を追うのも一つですし、今回のように自分にとって参考になる選手を見つけ、じっくり観察するのも観戦の楽しみです。試合を録画しておいて、気になったプレーを繰り返し見ることも、判断力を身につけるためにも役立つでしょう。
 
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■判断力を身につけるために重要なこととは

柳本さんは現役時代に共にプレーしていた中で、判断力が印象的だった選手としてセレッソ大阪時代にプレーした香川真司選手の名前を挙げています。
 
「彼は凄かったです。常に空間を見つけてトライしていました。ずば抜けて速い選手ではないし、身体も大きくないけど、一瞬一瞬の判断が違いました。身のこなしと状況判断。判断の速さからのドリブルへの転換、緩急のつけ方が一級品でした。そして、彼はオフの時間がないんですよ。常に動きながら、周りを見ながら、いつもゴールを狙っている」と評します。
 
今の選手たちは香川選手などに憧れ、今の小学生たちはドリブルをしたがる傾向があります。しかし、柳本さんは「ドリブルで仕掛けて、詰まってからパスを出す場面が多いんですけど、それだけではダメです」と話します。適切な場面でドリブルをするからこそ効果的であって、意味のない場面でドリブルをしていてはチームにとってブレーキになります。だからこそ、判断力や、考える力が必要になってくるのです。
 
柳本さんが判断力を身につけるために心掛けている「どこを見ていた?」というポイントです。
 
「人がいっぱいの状況でドリブルをして、獲られた子がいたら、たぶん『まったく見れていなかった』と答えると思います。そういう際に『見ないといけないね』という事を教えるんです。コーチが『今は左のパス、今はドリブル』という言い方をしていては、考える力が身につかなくなりますし、状況ごとに子どもたちに考えさせる機会を与えるのが今の指導の一つだと思います。そこで冷静に考えさせて、子どもたちが『人がたくさんいた』と言ったら、『じゃ、もっと周りを見てパスを出さないといけないね』という風に導いてあげるのです」
 
こうして理解をさせる上でも、サッカー観戦というのは重要ではないでしょうか?
 
そうした判断力を生かすためにも、素早く次のプレーへ移る準備をしないといけません。そのためにはボールコントロールが非常に重要になってくるため、「YF NARATESORO」でも練習から、常に選手に要求しています。「身についてしまったものはすぐには治らない」
 
柳本さんはそう話すようにジュニア年代で繰り返し基礎を練習することが大事です。しかし、ただ単に練習するだけではダメです。そのためにもゲームを意識することが大切です。
 
「単なるパス回しの練習でも、僕がそーっと後ろに立って、パスが出た瞬間に奪ってみたりするんです。『あれ?ちゃんと周りは見ていた?ゲームでは後ろにも人がいるんだよ』などと言ったりして、ゲームのシチュエーションを作ってあげる。それが段々、出来てくるようになると、自分の中でイマジネーションが発揮されるようになってきて、工夫が出来るようになります」。
 
子どもたちの成長のために重要な「M-T-M(試合-練習-試合)」という要素があります。試合のために練習をし、次の試合では前回の課題を克服するという意味です。自分が何をすれば良いのか?何がしたいのか?を試合や練習で明確に考えると、効果も変わってきます。そのためにもプロの選手たちがどういったプレーをしているか?ということを注意深く見るということは大事なことです。
 
 
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柳本啓成//
やなぎもと・ひろしげ
1972年10月・大阪府出身。1991年、奈良育英高校からサンフレッチェ広島の前身であるマツダSCに入団。翌年1992年、サンフレッチェ広島設立とともにプロ契約。創設期の広島では若手選手No.1の人気を博し、全国的にアイドル的な存在だった。Jリーグ開幕時から右サイドバックのレギュラーとして定着した。1995年、日本代表に初選出され1997年までの3年間で30試合の国際Aマッチ出場を果たす。その後1999年にガンバ大阪、2003年にはセレッソ大阪に移籍し、2006年に引退した。2008年4月、株式会社DF3を設立し、奈良県でフットサル施設「YANAGI FIELD」を開業。奈良からJリーグをめざす奈良クラブのオフィシャルパートナーを務める。 現在、ジュニアチームYF奈良テソロをGMとして率いている。
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取材・文・写真/森田将義

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